英首相がベイルートを訪問(アル・ナハール紙)
2006年09月12日付 Al-Nahar 紙

■ ベイルート、ブレア首相を外交的柔軟さと抗議の叫びで迎え入れ
■ セニョーラ首相、ブレア首相の前で抗議集会参加者に「誇りの挨拶」

2006年09月12日付アル・ナハール紙(レバノン)HP1面

 トニー・ブレア英首相のベイルート訪問は物議を醸したにも関わらず、レバノン国内においては逆説的に前向きな反応をもたらすことになった。レバノン政府は外交的な柔軟性をもって「ジョージ・ブッシュ米大統領の友人かつイスラエルの指南役」である英国の首相に要求を伝えることができた。訪問に反対する政治勢力は彼に抗議の叫びを伝えることができた。また治安部隊は厳重な警備体制を通じて治安維持の能力を証明することができた。ベイルートの「ブレアの日」は平和に過ぎてゆき、フアード・アル=セニョーラ首相はブレア首相の前で抗議集会参加者たちに対して熱い挨拶を送り、政府は「あらゆる立場の表現」に敬意を表するとして、「立ち上がって集会を開き、意見を表明し、我々の民主主義体制の最も重要な美点を体現した」人々を「評価するとともに誇りを覚える」と語った。セニョーラ首相だけでなくブレア首相自身も、訪問への抗議について数々の質問を投げかけられるなかで、自分に反対するデモは「我が家にいるような気分にさせてくれる」と述べた。

 訪問の成果に対しては抗議の声が支配的ではあるが、ある外交筋はブレア首相のレバノン、イスラエル、ラーマッラーへの訪問は、国連総会の開催とパレスチナ・イスラエル和平交渉開始に向けての英政府の努力に先駆けたものであるがゆえに重要な意味合いを帯びていると述べた。同筋によれば、ブレア首相のベイルート訪問には一連のメッセージが込められており、その主要なものは次のとおりである。

- レバノンで今回起こったような戦争を繰り返させないために努力する必要があること。
- ブレア首相はイギリスは対レバノン戦争に関して責任がある、或いは戦争に関与しているとの非難を認めない。イギリスがこの戦争を始めたわけではなく、長期化の原因でもなく、イギリスはむしろ戦争を停止させようと努力していた。ブレア首相はイギリスの役割について誇張や間違った情報があったこと、停戦の唯一の方法は安保理決議を通したものだったことを指摘した。
- 今回の訪問は、レバノンとレバノン人が国家の建設に向けて努力し、すべての政治勢力にわたって民主主義を活性化させることへの支援を確認するものであり、イギリスの役目は和平への到達と再建を援助することである。
- レバノンに対しては何の陰謀も策略もなく、英国が目指すのはレバノンの独立および全領土における主権の行使への歩みを助けることであり、これについては会談の相手全てが歓迎している。
- 必要なのはレバノンを援助する政治的なプロセスである。これに関連してブレア首相は国連安保理第1701号決議に言及し、すべての勢力が政治体制の一部であることを望む、力を用いるべきではないし、その必要もないと述べた。このメッセージは全員にいきわたり、ブレア首相は前向きな返答を得た。
- また今回の訪問に隠された日程はないということも強調された。またレバノンのために多額の資金が準備されており、イギリスはレバノンのすべての国家機関にわたって支援する。

(後略)



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( 翻訳者:玉井葉子 )
( 記事ID:3627 )