国連、イスラエルが近日中にレバノン南部から撤退との見方(アル・ナハール紙)
2006年09月29日付 Al-Nahar 紙
■ メルケル独首相、シリアと「間接的な」連絡を行っていると強調
■ 国連、「ルールの変更」を拒否 イスラエルの撤退を月曜と予測
2006年09月29日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面
国内の諸問題が新たな対立や分裂、論争の激化といった新しい局面に発展することが確実になる一方、イスラエルがレバノン南部からの撤退を見合わせていることに対して国際社会の各機関や各国政府は対応に追われ、昨日のフアード・アル=セニョーラ首相のドイツ訪問の際も基本的なテーマとなった。
国連は今なおイスラエルの撤退を今月末と見ているようであり、国連レバノン暫定軍(UNIFIL)のアラン・ペジェグリニ司令官はこのことに関して昨日、ナビーフ・ビッリー国会議長に情報を提供したという。
またUNIFILのアレクサンドロ・イワンコ報道官は昨日、国際部隊の任務および国連安保理決議第1701号履行の枠内における「衝突のルール」をめぐる見解の相違を理由にイスラエルが撤退を見合わせる決定をしているにも関わらず、イスラエル軍が今月末つまり日曜日以前に撤退すると予想していると明らかにした。イワンコ報道官は、イスラエルの撤退が数日中と予測されることに鑑みて、イスラエル軍が3日前からミルワヒーンの町にバリケードを設置していることに対するコメントさえ必要とは考えていないようである。
ニューヨークのハリール・フライハーン本紙特派員が国連消息筋からの情報として伝えたところでは、イスラエルは来る月曜日に南部の占領地域から部隊を撤退させると国連に通知した。また同筋によれば国際部隊本部は、イスラエルが要求している「衝突のルール」の変更を拒否しており、イスラエルの撤退見合わせの口実には大いに曖昧なところがあると見ているという。国連は、このような引き延ばし策によって安全保障上の事態の悪化が懸念されるような反応がもたらされるかも知れないと、イスラエルに対して注意を喚起した。
レバノン情勢は今日も国連安保理の議題となる。今日の午後5時に会合が開かれ、ラフィーク・アル=ハリーリー元首相暗殺事件に関する国際調査委員会のセルジュ・ブランメルツ委員長が作成し、去る月曜日にコフィ・アナン国連事務総長に提出した報告書について協議が行われる。米仏の国連大使はこの報告書を「前進している」と評価した、しかしロシア大使は報告書について留意点を述べ、特にハリーリー元首相暗殺と他の14件の爆破、暗殺、暗殺未遂事件とが結びついている可能性が強いとの立場を示したことについて、調査が国際調査委員会の任務を超える範囲に拡大しているとの見方を示した。
(中略)
■ メルケル独首相
一方、ドイツのアンゲラ・メルケル首相は昨日、ベルリンでのセニョーラ首相との協議の直後、ドイツは「シリアと常に間接的な連絡を行っている」と強調し、「我々は、レバノンに隣接する全ての国々に、平和的解決のみに未来があると説得したいと考えている」と述べた。
セニョーラ首相とメルケル首相の会談は国際部隊におけるドイツ軍部隊の役割、レバノン国軍および関税当局の訓練に関するノウハウの提供に焦点が当てられた。
メルケル首相は、「ドイツは独立したレバノンの建設に寄与したいと考えており、[ドイツの参加する]UNIFILは武器密輸を阻止するとともに、レバノン国軍自身に対しても国境の監視と保護にあたって支援を行っている」と述べた。
(中略)
メルケル首相が先に「イスラエルの安全を保障する」との声明を発表したことは、特にヒズブッラーの怒りの反応を引き起こした。メルケル首相は昨日、ドイツは国連安保理決議第1701号を履行するようイスラエルに圧力を加えるつもりかどうかと質問された際、もしレバノンが主権を有し強力であったら、それがイスラエルの存在と発展にとって基本的な保障となるだろうということを「完全に確信している」と答えた。
(後略)
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( 翻訳者:田中裕子 )
( 記事ID:3669 )