レバノン各勢力の協議会、今日から開催(アル・ナハール紙)
2006年11月06日付 Al-Nahar 紙
■ サアド・アル=ハリーリー議員「対話に開かれた姿勢で臨むが、彼らはなぜ政府の改造を望むのだろうか」
■ 協議会の開催で妥協か対決に向けての秒読みが始まる
■ アウン派の入閣が合意点、「全閣僚の3分の1」が地雷に
2006年11月06日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面
本日午前11時に始まる議会での政治指導者間の協議会の開催を前にして、レバノン国内は未知なる展開の可能性に直面しているようだ。反対派勢力の強硬な要求に対して、多数派勢力が所謂「シリア・イラン枢軸に権力を明け渡すこと」を拒絶するなかで、悲観的な見通しが支配的になっている。
しかしこのような要求をもって対話が開始されることは必ずしも、多くの者が恐れるように、確実に「破局的な」結果をもたらすことを意味するわけではないかも知れない。「両陣営」の間には中立的な立場の人々が存在しており、対話の主催者であり後見人であるナビーフ・ビッリー国会議長と連絡をとりあっている。彼らは「今週半ば以前に本当の結果を予測するのは時期尚早である。なぜなら交渉の前に要求内容をつりあげるのは自然なことで、そのようにして双方が相手方の意図を探り、その後の妥協もしくは対決にあたってどこまで行けるかを探るものだからだ」と考えている。このためこれらの人々は「今日の会合は先週に全体の一致が実現した合意点、すなわち多数派勢力がミシェル・アウン中将の会派の政府参加要求に合意したという地点から始まるだろう」と指摘した。
しかし対話にあたって本当の地雷となるポイントは[反対派勢力が]「全閣僚の3分の1」を要求している問題である。多数派勢力はこれを前提とすることを拒否し、反対派勢力はあくまでそれを主張している。
(中略)
■ ハリーリー議員「なぜ?」
またこれに関連して、「ムスタクバル・ブロック」代表であるサアド・アル=ハリーリー議員は、ヒズブッラーが「保証のための全閣僚数の3分の1」を要求していることに疑問を表明し、「何を保証するというのか。我々がどこかの手先だとでもいうのか」と問いかけ、「保証のための3分の1についてのあらゆる発言は受け入れられない。そもそも我々自身が保証そのものだ。現政府は、ジュブラーン・トゥワイニー殉教の日の国際法廷に関する決議を除いては、99パーセントは相互の合意に基づく決議を採択してきた。妨害能力を有する3分の1を要求するのはおかしい。そもそもわが国には妨害能力を有する大統領がいるのだ」と述べた。
ハリーリー議員は、昨夜LBCテレビに対する談話の中で政府が戦争中に行った努力について言及し、何故政府を交代したり拡大することが要求されねばならないのか疑問を表明し、それは「バッシャール・アル=アサド大統領が政治的クーデターを呼びかけていることの結果である」との見方を示し、「我々はアメリカ・ヨーロッパ枢軸の味方でもシリア・イラン枢軸の味方でもない。我々はレバノン枢軸とともにある。我々は対話を信じており、対話を呼びかけている。いかなる理由で彼らが政府の改造を望んでいるのか知りたいものだ」と語った。
(中略)
■ ヒズブッラー
一方で、ヒズブッラー指導部関係者は本紙に対して、「本日ヒズブッラーは明確な要求をもって協議のテーブルに向かう。それは実効的な政治参加を実現し、現在のように政治的決定権が独占されている状態を解消するために、挙国一致内閣を樹立することである。またヒズブッラーは、ナビーフ・ビッリー国会議長のイニシアチブによる今回の協議が最後のチャンスになるという精神で会合に臨む。協議会がいかなるかたちで失敗しても、その責任は先方[※多数派勢力]が負うことになる。先方はこのイニシアチブに対してもその他の努力、とくにサウジアラビアの努力に対しても、成功の機会を与えようとしないからである」と語った。
(中略)
■ イラン
そうしたなかでイランは昨日「レバノンの国民の団結を確かなものにして、すべての国民が参加する挙国一致内閣を樹立するための努力を支援する」ことを明言した。この発言はイランのイスラーム諮問議会のアリー・ハッダード・アーディル議長とビッリー国会議長が行った電話会談の中でなされたものである。イランのイスラーム共和国通信社「イルナ」が伝えたところによるとビッリー議長は、レバノンが現在微妙な状況にあることを説明し、国内のあらゆる政治勢力が対話の継続と挙国一致内閣の樹立に合意していることを強調した。そして、「話し合いは挙国一致内閣樹立の枠組みの中で今日始められ、全員がこの話し合いの中では他者を傷つけたり、どの勢力も単独行動に出たりはしないことを決意している」と述べ、レバノンのあらゆる政治勢力、中東諸国、国連の支持を得ているこの話し合いにおいて期待されている成果が実現されることを願うとともに、イランのレバノン支援に対する感謝と敬意を表明した。
(後略)
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( 翻訳者:新谷美央 )
( 記事ID:3885 )