イスラエル首相、容態安定するも職務復帰は不可能(アル・ナハール紙)
2006年01月06日付 Al-Nahar 紙

■ 72時間後にシャロン首相の運命決まる 一命取り止めても職務復帰は不可能
■ イスラエル、ポスト・シャロン段階に向けて準備

2006年1月6日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面

【AFP、ロイター、APなど】

 イスラエルのアリエル・シャロン首相は、水曜日の夜に脳内の激しい出血に襲われ、危険な容態のためエルサレムのアイン・カーリムにあるハダーサ病院に入院中である。医師団の話では、麻酔による昏睡状態72時間が経過した後でなければシャロン首相の病状について判断することはできないとのことだが、一命を取り留めたとしても政治生活に戻ることは不可能であることが確実になってきた。

 シャロン首相が危険な健康状態に陥ったことを受けて、イスラエルでは政治の重大局面を迎えている。3月28日に行われる予定の総選挙でカディマ党を率いる人物についてさまざまの憶測がなされているが、首相代行を務めているエフード・オルメルト副首相が現在に至るまで最も有力である。また、この1月25日に実施される予定の立法評議会選挙に向けて準備を進めていたパレスチナ自治政府にも、シャロン首相より過激な人物がイスラエル首相になった場合の中東和平プロセスの行方をめぐってさまざまの問いが浮かび上がるなかで、不安が広がっている。しかし、そうしたパレスチナ側の動揺の中でマフムード・アッバース大統領はシャロン首相の安否を確認するため同首相のオフィスに連絡をとり、パレスチナ自治政府首相オルメルト首相代行に連絡をとった。しかし、イスラム抵抗運動「ハマース」は、シャロンがいなくなれば世界はより良くなるだろうとの見解を示した。

 アラブ諸国は事態の推移を見守っており、世界各国の指導者はイランのマフムード・アフマディネジャード大統領を除いて、シャロン首相の回復を希望した。アメリカのブッシュ大統領は、「平和のためのヴィジョン」を持っていたとしてシャロン首相を称賛した。

■ 出血の停止

 ハダーサ病院の外科医たちは、78歳のシャロン首相に対して7時間に及ぶ2回の外科手術を施し、脳内の出血を止めたと述べた。また、シャロン首相の容態は予断を許さない状況ではあるが、安定していると述べた。

 同病院のシュロモ・モール・ユースフ院長は、シャロン首相の脳はまだ機能してていることを明らかにしたが、職務に復帰する能力を回復する可能性については悲観的な見通しを示した。

(中略)

■ 臨時閣議

 シャロン首相の側近であるオルメルト首相代行はエルサレムで臨時閣議を召集した。
 
 イスラエル放送の伝えるところによればオルメルトは閣議の冒頭、「我々全員は首相のために祈りをささげる。我々は困難で複雑な状況に直面している。しかし政府は未だに機能しており、イスラエルも機能している」と述べた。

 また、メイル・シトリート運輸相はシャロン首相は「生き残るためにたたかっている」と述べた。
 
 ツィピ・リヴニ法相は「我々はシャロンのために祈る。我々は首相代行が任務を遂行し適切な決定を下すことを助けるためにできることを全て行う」と述べた。

 シャウル・モファズ国防相はイスラエル国民に対し、国防責任者達はシャロン首相が危険な健康状態にあるため国内に不安が広がっているこの時期ゆえに「警戒態勢」を維持すると伝えた。国防相は治安部隊と軍の幹部による会議を召集するとともに、公営テレビ放送を通じて声明を発し、「国防機関は『警戒態勢』を維持する。...ツァハル(国防軍)はイスラエル国民防衛のため活動を続けるので、イスラエル国民は安心されたい」と述べた。

(後略)



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( 翻訳者:高松拓 )
( 記事ID:1698 )