イスハク・パシャ宮殿で48年間も不適切な修復作業(Milliyet紙)
2006年11月20日付 Milliyet 紙

ドウバヤズトのイスハク・パシャ宮殿は、オスマン朝チューリップ時代最後の大建造物である。この宮殿で半世紀もの間つづいている修復が間違っていることが分かり、新たな修復が行われることが決まった。学術委員会の報告書では、この歴史的建造物が専門家ではなく建設会社に修復されたために損傷を受けたことが明らかにされた。

文化観光省のアティッラ・コチ大臣は、昨年訪問したイスハク・パシャ宮殿で修復作業が適切に行われていないことに不満をもらした。アール県庁は(大臣の)指示にしたがい、学術委員会を設立した。中東工科大学(ODTÜ)の教員らも委員として参加している計20人の学術委員会は、宮殿で1958年以降継続されてきた修復工事に対する調査を報告書にまとめた。

文化観光省とワクフ総局に提出された報告書によると、この歴史的建造物の多くの箇所に損傷がみられることが分かった。壁面被覆のはがれ、壁体のクラック(ひび割れ)、水漏れ、そして小屋組み(屋根)の構造支持システムで異常が確認されたことが分かった。

■オリジナルの石材の代わりに新しい石材

学術委員会で委員をつとめる中東工科大学建築学部のエミネ・ジャネル・サルトゥック教授は、宮殿の修復工事が完全に間違いであることを明らかにし、次のように語った。「我々は宮殿で調査と分析を行いました。この建物には複数の問題があり、また建築材料の痛みがみられます。このような状態の建物を、もとのオリジナルどおりに戻すことは困難です。工事の入札は、修復の専門家ではなく、(一般の)建設会社が落札しました。まだ使える状態にあったオリジナルの石材が取り除かれ、新しい石材が使われました。また修復工事の段階で、査察が行われませんでした。雨に対する防水ディテールについても欠陥があります。しかしまず最初の段階として、緊急に宮殿の屋根がかかえる問題を解決することが必要です。」

■再度修復に1千万リラ

アール県の文化観光局長のムフシン・ブルトゥ氏は、宮殿の再修復のために2007年に入札が行われことを明らかにした。また修復工事は、修復専門家が作成する報告書に基づいて実施されるという。ブルトゥ文化環境局長は、前回の失敗が今回の修復で繰り返されることはないと述べ、その修復費用は1千万トルコリラ(7億9千万円相当)にのぼると語った。


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( 翻訳者:山本裕一 )
( 記事ID:3936 )