国際法廷設置案、週明けに安保理採択か(アル・ナハール紙)
2006年11月18日付 Al-Nahar 紙

■ 国際法廷草案決議立会いのためライヤーシー、サーディル両判事がニューヨーク国連本部へ
■ 組閣問題解決に向けたセニョーラ首相の提案はビッリー国会議長待ち
■ ハリーリー議員「運命を決するような選択を無効にしうる全閣僚数の3分の1を譲り渡すことはできない」

2006年11月18日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面

 「もし政治危機の解決を模索するうえで何の進展も得られていないにせよ、いかなる後退も記録されていない」。政府の行き詰まりから隘路をくぐり抜けて脱するためにレバノン国内外では絶え間なく連絡のやりとりが行われており、その動きを間近で見守ってきた関係各方面は昨日、上記のような印象をもった。

 こうした中、レバノンでは二つのことが待たれている。一つ目は、明後日月曜日、国際的性格を有する特別法廷の設置草案がニューヨークで国連安保理に提出されることである。二つ目は、来週水曜日の独立記念式典に関することであるが、この式典において3首脳[=大統領、国会議長、首相]は通常通りに顔を合わせるのであろうか?

■ ビッリー国会議長

 昨日の政治的・外交的な連絡協議において終始中心的な役割を担ったナビーフ・ビッリー国会議長は、一日の締めくくりとして進展に繋がるものを得られなかった。ビッリー国会議長の関係者は、「全ての可能性が開かれており、門戸は閉じられていない。必要なのは徹底的な対話である」と述べている。

 昨日ビッリー国会議長を訪問した某氏は、「前向きな事は国会議長が、調停役に戻ることを一旦断った後、各方面が真剣であるとの確信が得られた上でとの条件で了承したことである」と分析を述べた。

■ セニョーラ首相

 話し合いが一般論で終わってしまわないように、フアード・アル=セニョーラ首相から組閣案が出された。この案では、閣僚30人で構成される内閣のうち、多数派に19閣僚、反対派勢力に9閣僚、中立派には、事前に国際法廷の設置に同意すること、また辞職によって内閣を麻痺させないことを条件として2閣僚、となっている。

 本紙情報によれば、調停役の一人がこの首相案をビッリー国会議長に伝えたが、ビッリー議長はまだ回答していないという。複数のリーク情報によると、首相案を国会議長に伝えたのはガーズィー・アル=アリーディー情報相だとのことであるが、ビッリー国会議長側はこれを否定し、「ビッリー議長は首相案を「真剣なもの」とは受け止めていない、もしも前回の各派協議会で提示されたならばビッリー議長も関心を持ったであろう」と述べつつも、「ビッリー国会議長は[首相案について]まだ耳を傾けており、立場を示してはいない」と説明した。

 一方、セニョーラ首相の関係者は、「いかなる解決も対話を必要としており、妥協へ向けたいかなる対話も、全ての当事者が他の当事者に対して働きかけることが必要である」と述べた。

 複数の観測筋が指摘するところでは、解決に関するアイデアの交換が多数派と少数派の双方で進行しているものの、ヒズブッラーからの回答はないままだという。

■ ハリーリー議員

 こうした状況の中、「ムスタクバル・ブロック」の代表であるサアド・アル=ハリーリー議員は本紙に対し、昨夜次のように述べた。「危機から脱出し、レバノンを解決の道へ戻すためのアイデアであれば、いかなるアイデアをも3・14勢力は拒絶しない。我々は、辞任した閣僚らが政府に戻るところから解決は始まると考えている。先日起きたように、閣僚が自分の辞職を決断すればその瞬間に政府を解散させる力を持つような『全閣僚数の3分の1』を、誰一人として差し出したりなどしないであろう。なぜなら『全閣僚数の3分の1』を差し出すことは、レバノンの運命を左右する幾つかの重大問題に対して脅威となるからである。重大問題の筆頭は、国連安保理第1701号決議の履行である。第1701号決議の履行こそが、イスラエルがレバノン人に対する新たな攻撃をできないようにすること、再びレバノンがレバノンの利益を一切考慮しない地域諸国の利害をめぐる破壊的な対決の場とならないようにすることを保証する。重大問題の第二は、必ずや設置される国際法廷である。国際法廷はレバノン人にとって唯一の保証であるから、誰一人としてあきらめはしない。狂った殺人者は法の正義から逃れることはできないし、今日以降レバノン人を再度攻撃することもできない。重大問題の第三は、パリⅢ会議に基づく経済的、社会的プログラムである。パリⅢ会議は、イスラエルに破壊されたものを再建し、この夏被害を受けた大きな躓きからレバノンの経済を復興し、生活の糧と安定を探し求めて移住の道を選ぼうとしているレバノン人に仕事の機会を提供する最新の機会である。」

(中略)

■ 国際法廷問題

 国際法廷問題の方では、フランス通信社(AFP)の予測によれば、明後日月曜日に国連安保理が法廷設置案を採択するとみられている。同通信社は、この案件がレバノンの議会に提出され、協定が締結され、その後エミール・ラッフード大統領の承認を得るまでには、「長い闘いが予想される」と報じた。

 本紙の情報によればレバノン政府は、国連安保理が国際法廷の事案を議決するうえで問題はなく、ロシアがこの一歩を妨害することもないとの確証を得ている。しかし国連安保理のアラブ諸国からの唯一の理事国であるカタールの同法案に対する立場は分かっていない。なおセニョーラ首相は、ロシアのセルゲイ・ブーキン大使に対し、レバノン政府が憲法に則って国際法廷草案を承認したことを説明している。

 レバノン政府からこの件についてのフォローアップを任命されたラルフ・ライヤーシー、シュクリー・サーディルの両判事は、国連安保理の会議に参加するために昨日ニューヨークに向かった。



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( 翻訳者:森本詩子 )
( 記事ID:4009 )