治安維持作戦に失敗した米がイラク武装勢力と秘密交渉に(アル・アハラーム紙)
2006年10月24日付 Al-Ahram 紙
■ イラク抵抗勢力とアメリカが秘密交渉
■ イラク駐留アメリカ兵、ラマダーン中だけで86人死亡
■ イラク軍にクズ兵器を納入し8億ドルを横領
2006年10月24日付アル・アハラーム紙(エジプト)HP1面
【ニューヨーク、バグダード:諸通信社】
イラクで次々に起こる事件が、アメリカを当初の目論見とは異なる結果に導く様相を見せている。特にラマダーンの一ヶ月だけでアメリカ軍兵士の死者が過去2年間で最悪の86人に上ったことを受けて、アメリカ当局はイラクのスンナ派抵抗組織との秘密交渉に入ったと、英国の『サンデー・タイムズ』紙が伝えた。
時を同じくしてイラクでは、前イラク国防大臣を始めとする複数のイラク当局幹部が、武器取引に際し計8億ドルを横領したという、最悪の汚職事件が明らかになった。
イラク最悪の汚職事件のひとつとなった今回の事件で、イラクのアリー・アッラーウィー前財務大臣は、複数のイラク当局幹部がイラク軍向け装備の取引において8億ドルを横領したことを明らかにした。アッラーウィー財務大臣は、アメリカCBSテレビの番組「シクスティーン・ミニッツ」に出演し、「財務省は、新しい兵器の購入のために12億ドルの予算を割り当てたが、非常に状態が悪く使用に適さない中古の兵器に4億ドルが支払われただけだった」と述べた。
前財務大臣は汚職の容疑がかけられている人物の名前を明かさなかったが、イラクの捜査官たちは、イラク国防省所属のズィヤード・カッターン購入担当長が監督したいくつかの武器取引の詳細を追及している。他の当局幹部の名前の中には、ハーズィム・アル=シャアラーン前国防大臣も含まれている。カッターン購入担当長は、イラク当局から指名手配されており、現在はパリで生活している。
CBSテレビの番組がゲストに招いた軍事雑誌『ジェーンズ』の専門家たちは「カッターン氏が番組に提供した書類では、支払われた分の兵器がイラクに輸出されたことを証明できない」と明言した。カッターン氏は巨額の賄賂をイラク当局幹部に支払ったと同氏自身が語っている番組が放送した録音テープの信憑性を否定した。
また、公共清廉委員会の委員長を務めるラーディ・アル=ラーディ裁判官は、「手配中の国防省幹部たちは全員、中東やヨーロッパ諸国に逃亡した。これらの国々は、彼らに関する一切の情報、資産記録さえも提供を拒んでいる」と断言した。
他方、英国の『サンデー・タイムズ』紙は、有力なスンナ派民兵組織のひとつであるイラク・イスラム軍」の代表者たちが米政府高官らと会談し、秘密交渉は最低でも2日間続けられたことを明らかにした。同紙はさらに、「この交渉は、2ヵ月半にわたってバグダードで行ってきた治安維持活動が失敗だったとアメリカ自ら認めたことを意味する」と伝えた。
現地の新聞はこちらから
( 翻訳者:鳥居洋介 )
( 記事ID:3832 )