2006年1月17日付シャルグ紙2面
【政治部:アーザーデ・エフテハーリー】過去三年間、アメリカ、そしてそれに続きEUは、イランの核活動が脅威であるとの主張を掲げ、これらの計画の発展阻止を試みてきた。
この間彼らは、自らの外交政策に対する当該地域の支持を取り付けようと、イランの核開発は域内各国、中でもペルシャ湾岸のアラブ諸国にとって脅威であると説明してきた。このような状況の中、域内アラブ諸国はイラン政府の核政策に対し、常に沈黙を保ち、中には現状維持的な態度で臨むものもあった。
しかし、ロンドン発行のTIMES紙は、最近のサウード・アル=ファイサル・サウジアラビア外相の発言に注目し、次のように記している。
「ついにアラブ諸国の沈黙を破り、サウジアラビアは核開発というイランの目標が域内に悲劇を招くとの主張を始めた。サウード・アル=ファイサル外相はマフムード・アフマディーネジャード・イラン大統領に対し、核エネルギーを断念し、穏健な外交姿勢をとって、イラクへの内政干渉を慎むよう要求したのだ。
イラク問題は何にもまして、イランとサウジアラビアの両国関係を損ない得る問題であると、専門家は分析する。というのも、バグダードでシーア派主導の政府が誕生したのに続き、現在イラク議会も強力なシーア派勢力によって主導権を握られており、このような事態はスンニー派政権が支配しているサウジにとって脅威であるとみなされているからだ。
これまでサウジ政府は、イランのシーア派によって国内のシーア派住民が影響を受けやすい状況にあることについて、懸念を表明してきたが、イラクでシーア派勢力が権力の座に就いた現在、サウジと彼らとの今後の関係如何によっては、この懸念が拡大する可能性が出てきたのである」。
TIMES紙はさらに、次のように記している。
「アル=ファイサル外相は、ロンドンでのテロ国際会議の開催前の発言として、域内での軍拡競争の発展に対し、アラブ世界の多くの国々に向けて懸念を表明した。同外相はさらに、『我々は、核兵器や大量破壊兵器のない中東・ペルシャ湾に向けた動きに合流するよう、イランに望む』と付け加えた。
アル=ファイサル外相はまた、イスラエルの兵器庫には100基以上の核兵器が存在すると触れた上で、誰もイスラエルでの核兵器生産に目を向けていない、これは由々しき問題である、とも発言した。
一部の専門家が、イランの核開発に続き、サウジ政府も核武装を試みていると考えていることに対し、アル=ファイサル外相は、『我が国がそのような政策を決定したことはない』と反論している」。
TIMES紙はまた、次のように報じている。
「国際社会の主要国は、イランがエネルギー生産を目的とした核の平和利用技術を獲得すること自体には、反対していないようだ。しかし、アル=ファイサル外相は『核の平和的エネルギーでさえも、潜在的な危険性をはらんでいる』と語る。同外相のこの発言は、イラン南部のブーシェフル原発の建設や、チェルノブイリ原発で起きたような事故が起こる可能性を直接指し示したものであると思われる。
アル=ファイサル外相はまた、アフマディーネジャード大統領がハータミー政権の外交政策を継続する構えなら、イランとサウジアラビア両国政府が協力する可能性も存在するだろうと述べた」。
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( 翻訳者:南龍太 )
( 記事ID:1728 )