爆弾テロの標的になることを恐れて弔問の集まりを控える動きがイラクで広がる(サバーフ・ジャディード紙)
2006年01月16日付 al-Sabah al-Jadid 紙
■爆弾テロの標的になることを恐れて弔問の集まりを控える動きがイラクで広がる
2006年01月16日付サバーフ・ジャディード紙(イラク)HP国内面
【バグダード‐AFP】
アブドゥッラー・ハーリド・アル=ハサンは、ジャミール族の族長のひとりであった亡き父ハーリド・アル=ハサンの魂のために、イラクの習慣に従って弔問の集まりを行うことをあきらめた。弔問客が集まる機会に乗じてテロリストたちが無辜の民を襲うのを避けるためである。
各地で起きている爆破は米兵やイラク兵だけを狙ったものではなく、市場の買い物客や聖廟やモスクへの参拝者といったソフトターゲットにも向けられている。貧富にかかわりなくイラク人であれば誰でも開催にこだわる弔問の集会ですら例外ではない。
アブドゥッラーは自ら進んで集まりを放棄したわけではない。こうした集会の規模は故人の社会的地位と結びついていることを思えばなおさらである。彼はディヤーラ県中に一族を擁する部族の有力者のひとりであった父親本人の遺言に従ったのだ。
彼は言う。「集会がテロリストの標的になることを恐れて、弔問の集まりを開かないよう、亡き父が私たちに言い残したのです」、「父に当然してやらねばならないことをしていないと言って、一族の多くが私たちを責めることだろうと思います。しかしこれは父の遺言なのです。私たちにはそれを守る義務があるのです」。そしてアブドゥッラーは父親が亡くなる数日前に口にしたという言葉を引いた。「死者が人々の死や殺害を引き起こすことを私は望まない」。
ディヤーラ県の県庁所在地であるバアクーバに程近いミクダーディーヤでは今月4日、爆発物を仕込んだ服を着た自爆者が会葬者に紛れ込んで自爆し、37人のイラク人が死亡している。(中略)
こうして最低でも3日間にわたって天幕を建て弔問客を迎え、食事を振舞うといった通常の儀礼なしに、故ハーリド・アル=ハサンの魂を慰めるささやかな葬儀が執り行われたのである。(中略)
「コーラン開扉章の会(マジュリス・アル=ファーティハ)」と呼ばれるこうした弔問の集まりは、イラク全土に根をおろす伝統の習慣である。都市でも3日、地方では故人の社会的地位に応じ数日にわたって続けられる。爆破の危険にもかかわらずこうした集会の開催にこだわる人たちは、警察隊や地域の民兵、集会が開かれるモスクの警備員などによる厳戒な警護を頼りにしている。
この弔問の集まりを開かないことは、貧しい一家であれ、裕福な一家であれ、由緒正しい伝統を破るものとみなされる。中流家庭では故人への敬意を表すために、集会の費用を借金でまかなうことも多い。
現地の新聞はこちらから
( 翻訳者:山本薫 )
( 記事ID:1733 )