ハニーヤ首相への暗殺未遂でハマースとファタハ、内戦の危機(アル・アハラーム紙)
2006年12月16日付 Al-Ahram 紙
■ 西岸・ガザ地区で流血の衝突、内戦の危機
■ ハマース、ラファハ通行所でハニーヤ首相を暗殺しようとしたのはファタハのダハラーン氏だと非難
■ ハニーヤ首相の帰国を妨げたのはイスラエル
■ アッバース大統領は今日の演説でハマース政権の今後と次期大統領選について方針を示す
2006年12月16日付アル・アハラーム紙(エジプト)HP1面
【ガザ:アシュラフ・アブルホウル、西岸地区:諸通信社】
一昨日の夜、ラファハ通行所からガザ地区に入国しようとしたパレスチナのハニーヤ首相が銃撃される事件があり、その数時間後に始まったハマースとファタハの流血の衝突は昨日になって西岸およびガザ地区でさらにエスカレートした。
ハマースは昨日、ファタハの有力指導者であるムハンマド・ダハラーンが暗殺未遂事件の背後にいるとして非難したが、ダハラーン氏本人はこの嫌疑を否定、アッバース大統領はハニーヤ首相が帰国途中に発砲を受けたこの一件に対して遺憾の意を表明した。この事件でハニーヤ首相の子息が負傷、補佐官の一人が殺害された・
米国務省のマコーマック報道官はワシントンで、数百万ドルの現金を持ってガザ地区に入ろうとしていたハニーヤ首相の入国を禁止する決定を採ったのはアッバース大統領の可能性がある、と発表した。ところがイスラエルの治安筋はテルアビブからフランス通信社(AFP)に向けた声明で、ハニーヤ首相のガザ入国を禁じる決定はイスラエルが出したものであることを確認した。複数のアラブ諸国およびイランへの歴訪中に募った数百万ドルを持ってガザに入ろうとしたハニーヤ首相の入国を妨げるためにラファハ通行所の閉鎖を命じたのは、イスラエルのペレツ国防相だったという。
目撃証言によると昨日ガザではハマース支持の武装集団とファタハ系治安部隊の間で交戦が行われた。交戦に先立って覆面し武装したハマース軍事部門のメンバー数百人がガザ市のメインストリートに展開し、中には対戦車ミサイル砲を手にした者もおり、極めて緊迫した状況となった。この状況についてガザの人権団体「ダミール(良心)」のハリール・アブーシャマーラ氏は、「ガザ地区の情勢は完全な崩壊へと向かっている」とコメントした。
西岸地区では昨日ラーマッラーでハマース支持者とパレスチナ治安部隊の間で起きた衝突によって26人が負傷した。治安部隊はハマース創設19周年を記念すべくラーマッラー中心部のジャマール・アブドゥンナーセル・モスクにメンバーが終結しようとしたのを防ごうと、大声を浴びせ、銃床で殴り、空中に発砲するなどしていた。
PLOの和平交渉担当局長サーイブ・ウライカート氏は現状の混乱や治安崩壊について、「全てを破壊に導くパレスチナ内戦の前哨戦ともなりかねない」と警告を発した。
ハニーヤ首相はハマース創設19周年によせた演説において、挙国一致政府の樹立を呼びかけはしたものの、内戦の危機が高まるたびにこれまでしてきたように、停戦を明確に呼びかけることはしなかった。
パレスチナ自治評議政府内のハマース会派を率いるハリール・アル=ハイヤ氏は、内戦に向かっているのはアッバース大統領だと非難し、ハマース支持者10万人を集めたガザ市内での集会で、「マフムード・アッバースよ、お前は神に、ついでハマースに対し、宣戦布告するというのか」と演説した。
そしてハマースは選挙の前倒しにも、それを問う国民投票にも賛成しないと明言した。(中略)
他方、アメリカのライス国務長官は、パレスチナ大統領直属の治安部隊を支援するために、数千万ドルの提供を米議会に要求するつもりだと語った。
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( 翻訳者:山本薫 )
( 記事ID:4157 )