レバノン各派が自身の立場に固執する中、アラブ連盟事務局長の仲介努力がはじまる(アル・アハラーム紙)
2006年12月13日付 Al-Ahram 紙

■ アラブ連盟のムーサー事務局長、レバノンの各派が自身の立場に固執する中、協議を開始
■ 反対派勢力:「ラッフード大統領の後任選択は危機の解決にとって重要」
■ セニョーラ政権、ハリーリー元首相暗殺犯を裁く法廷設置法案を議会に送付することを検討

【ベイルート:マーヒル・ムカッリド、ワシントン:諸通信社】

 昨日、アラブ連盟のアムル・ムーサー事務局長は、レバノン危機の当事者たちが要求や優先事項をあきらめず、自身の立場を堅持すると公言するなか、彼らとの協議を開始した。

フアード・アル=セニョーラ政権は昨日、反対派勢力が呼びかけた座り込みが始まって以来最初の閣議を開いた。エミール・ラッフード大統領が署名することを拒否したハリーリー元首相暗殺事件の国際法廷に関わる法案を、国会に送付する問題について話し合いが行なわれた。

アラブ連盟のアムル・ムーサー事務局長は、ベイルート到着直後の会見において「アラブ諸国によるイニシアチブが存在するわけではない」と述べ、今回の行動は先週初めてレバノンを訪問した際に自身が提案したアイデアの一環として行われるものだと述べた。
成功を予想しているかという質問に対しては、「そう信じている」と答えた。ムーサー事務局長はナビーフ・ビッリー国会議長、セニョーラ首相、ヒズブッラー党首、マロン派のナスルッラー・ブトロス・スファイル大司教、そして反対派の国民自由潮流を率いるミシェル・アウン中将と会見する予定。

ムーサー事務局長の訪問前日には、アラブサミットの現議長国であるスーダンのウマル・アル=バシール大統領によって任命された、スーダン特別代表団長であるムスタファー・ウスマーン・イスマーイール氏による一連の会談が行われていた。両者がそれぞれの立場に固執する中、スーダンの仲介が成功するかどうかは政治・報道関係者から疑問視されていた。

他方、レバノンのマルワーン・ハマーダ通信相は、「ラッフードの後に就くことになる大統領の候補者問題をどうするかが、現在の危機脱出の糸口になる。次期大統領候補者の人選に合意できなければ、この問題の扱いに議会は失敗するだろう」と語った。

またアミーン・ジュマイエル元大統領は、閣僚ポストの三分の一を得ることで政府決定に拒否権を持とうとするヒズブッラーの要求を受け入れることは、レバノンの制度崩壊を意味すると述べた。

フランスのヨーロッパ1放送に向けた声明の中で元大統領は、「少数者の専制」と呼ばれるような状況は歓迎できないと述べ、100万人以上のレバノン人がレバノンの独立と主権、シリア軍の撤退を求め2005年3月14日にフアード・アル=セニョーラ政権誕生へと繋がるデモ行進を行った点を指摘した。

ワシントンではライス国務長官が、アメリカはセニョーラ政権を支持すると改めて明言し、レバノンの体制打倒を狙っているとの嫌疑をシリアに向けつつ、「合衆国が別の自国の利益のためにレバノンの将来を取引材料にするような立場に追い込まれることは起こりえない」と述べた。


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( 翻訳者:平寛多朗 )
( 記事ID:4164 )