ムーサー事務局長の仲介努力つづく ロシアは衝突の可能性を警告(アル・ナハール紙)
2006年12月21日付 Al-Nahar 紙

■ ロシア政府は衝突の可能性を警告 アサド大統領に対して大使館を開き国境線を確定するよう促す
■ ムーサー事務局長は仲介にあたっての複雑な問題を携えてダマスカス訪問 イランは仲介努力への参入を提案
■ ムーサー事務局長、3.14勢力と夜に会合 反対派勢力は「計画B」をほのめかす

2006年12月21日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面

 アラブ連盟のアムル・ムーサー事務局長は昨日も、大統領や国会議長、首相および、政治、宗教、経済界の権威の間を移動しつつ困難な仲介を行う厳しい一日を過ごした。ムーサー事務局長は、国際的な性格を有する法廷の設置計画を検討するための司法・法律の専門家6人から成る委員会の問題と、拡大政府(19+10+1)[多数派から19人、反対派から10人、中間派1人]の形成にあたって「決定権を握る閣僚」ないし「11人目の閣僚」の人選と権限を決定するメカニズムの問題という、二つの主要な問題に対する実務的な枠組みを確定することを求めて努力した。

 ムーサー事務局長の仲介がこれら二つの問題に関して実行する上での詳細の検討に達したことは重要であり、彼の仲介は今後さらに困難な部分に直面してゆくことになる。そうしたなかでムーサー事務局長のベイルート滞在中にこの仲介と関連して、アラブ諸国、中東地域、国際社会の各レベルの動きが顕在化してきた。ムーサー事務局長はシリアのバッシャール・アル=アサド大統領との会談のため今日ダマスカスへ向かい、夕方にはベイルートに戻る予定である。またロシアとイランがそれぞれの立場を表明した。レバノンの危機が外国の複雑な問題と結びついているという点で、これらの諸国の立場は大きな重要性と意味を持っている。 

■ ラブロフ外相

 今日のムーサー事務局長のダマスカス訪問を前にロシア政府は、フアード・アル=セニョーラ首相とシリアの大統領を相次いで迎えた後、レバノン情勢に関心を示すことに努めてきた。またこれと関連して、セニョーラ首相は昨日午後、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相から電話連絡を受け、アサド大統領のモスクワ訪問の成果や、ロシアのウラディミール・プーチン大統領との会談の中で話し合われた議題や会談の雰囲気について報告を受けた。

 またセニョーラ首相への連絡に先立ってラブロフ外相は、レバノンにおける政治的危機が続くことへの不安や衝突が起こることの可能性に対する懸念を表明した。

 またロシアの通信社「ノーボスチ」によればラブロフ外相は昨日開かれた記者会見の中で、「レバノンで起こっていることは、パレスチナ自治区で起きていることと似ている」と述べ、それはすなわち内部での衝突が起きる可能性があるという意味であることを明らかにした。またラブロフ外相は、ロシア政府はレバノンにおいて徐々に緊張が高まっていることを非常に心配しているが、レバノンとシリアの紛争において仲介者の役割を担う意思はないと述べた。また、レバノン・シリア関係の軌道を再び本来の方向に乗せるためにアラブ連盟が行っている努力を賞賛した。

 ラブロフ外相は、ロシアはアサド大統領およびセニョーラ首相との会談において、レバノンを取り巻いている緊張を取り除くため努力したということを明らかにした。また、ロシア政府はシリア政府に対して、レバノンとの間で外交団を互いに派遣し、国境線を画定することによって自然な関係を築くよう促し、これに対してアサド大統領が「理解ある姿勢をもって」答えたと語った。

(後略)



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( 翻訳者:岡本亜有子 )
( 記事ID:4201 )