シーラーズの最も美しいガージャール朝建築、不審火で焼失 ハムシャフリー紙
2006年01月26日付 Hamshahri 紙

1月26日付ハムシャフリー紙

【科学文化部】シーラーズで最も美しいガージャール朝建築と言われる建物の一つで火事があり、ファールス州歴史遺産保護管理者らによる管理が行き届かない中、すべて焼失した。

 この建築物は、「モウラー」[訳者注:シーア派の第1代宗教指導者アリー(661年没)の異名]地区のガージャール朝期のものであり、モウラー・モスクのちょうど裏手に位置し、タイル細工や鏡細工、レンガによる細工を凝らした、比類ない装飾を有していた。しかし先週、原因不明の火事で、中庭の木々も含めた建物全体が焼失したのである。

 ファールス州文化遺産・観光庁の考古学専門家であるイーラジ・モハンマディー氏は、国定遺産リストへの登録のため、州の歴史的建造物の調査を進めていた。
 モハンマディー氏はこの事件について、ISNA(イラン学生通信)に次のように語った。「この建築物は不審火によって出火した。まだ事件の動機は明らかになっておらず、建築物を破壊する口実が欲しかったのか、あるいは、他に問題があったのかは分かっていない。同建築は文化遺産として管理されてはいなかったため、その所有権も明らかにされなければならない。」
 彼は、焼失した建築物をシーラーズ随一の歴史的建造物の一つであるとし、「建物の窓は、「オロスィー」と呼ばれる飾り窓[訳者注1]であり、天井には諸外国のスタイルに影響を受けたガージャール朝時代の絵画が描かれていた。また、部屋は、鏡細工で、中庭はタイル細工とレンガによって装飾が施されていた」と述べた。

[訳者注1]「オロスィー」と呼ばれる飾り窓:幾何学模様の木枠の中に色付きの磨りガラスをはめ込んだもの。「ロシア風の」を意味するという説もある。

 モハンマディー氏は、この地区の建築物を国定遺産リストに登録するための調査をしている最中に事件を聞きつけたと話し、「同建築は、損傷が激しく、もはやこれを国定遺産に登録することはできない」と語った。

 また、彼は、最後に次のように述べた:「現在、建物の扉は開いており、誰でもその中に入ることができる。しかし、もし建築物の所有者がいたならば、施錠しておかなければならなかったはずだ。建物に火をつけた犯人の動機を明らかにしなければならないと同時に、所有者もこの件に関して、事情を聴取されねばならない。」

 このガージャール朝建築の火事から一週間が経過したにもかかわらず、シーラーズ歴史的建造物監視所所長であるアリー=レザー・ゴリーネジャードは、この事件に関する詳細な情報は未だ得られていないと発表している。




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( 翻訳者:南龍太 )
( 記事ID:1782 )