お参りすれば不妊、麻痺に効く? 与党(AKP)が聖者廟修理を決定(Milliyet紙)
2006年01月02日付 Milliyet 紙
アンカラ広域市議会で公正発展党(AKP)議員の賛成により、「病気が治る」というセイト・ジェマリ廟が修復の上公開されることになった。
アンカラ広域市議会は、11月27日に採決された第2946号決議で、「不妊や麻痺で悩む人に御利益がある」という理由でセイト・ジェマリ廟を修復の上市民に公開することを決めた。セイト・ジェマリ廟はイェシルデレ町から5、6キロ離れた場所に位置し、自家用車でのみ訪れることができるという。14~15世紀の間に作られたこの聖者廟に季節ごとに県外からも多くの訪問者があることのほか、「聖者廟は不妊や麻痺で悩む人に御利益があると言われている」という驚くべき解説が付け加えられた。
アンカラの一部の地区や街路に広域市議会の決定で自分の名前を付けさせようとしたため世論の反発を招いている、副議長のセイフィ・サルトールのサインの入った決議は次の通りである。
「セイト・ジェマリ廟は長い間手入れや修理が行われていないことから、建物が破損する前に修復する必要がある。イェシルデレ第一行政区に位置するこの聖者廟を本来の形で市民に公開するため、アンカラ広域市科学技術環境保護局長にこの任務を命じることに係る委員会報告が満場一致で採択された」。
■野党議員がいなかった
市議会の満場一致での決議という点において、もう一つのスキャンダルがあった。議決の際に野党である共和人民党(CHP)の6人の議員はチャンカヤ市の公職のため北キプロスにおり、他の議員も休暇中であったことが明らかになった。これが与党側が野党議員が不在なのを好機と見て決議を行ったのではという疑惑を招いた。
広域市議会では今回の決議の前日にも、サルトール副議長のサインのもと、カレジク村とチフトリク村の間にあるゲイク・ババ廟について「老朽化が著しい」という理由で修復の決議がなされた。
■「法に反する」
・ムザッフェル・ユルマズ(弁護士):
「テッケやザヴィイェ(僧のための宿坊・小屋)に対していかなる金銭的援助をすることも憲法や法律に反する。与党議員はいまだ国民の信仰心をもて遊んでいる。その聖者廟に行けば国民に子供ができるというのか。御利益があるというがこんなことがあるはずはない。不妊に悩む人々を医学・科学から遠ざける、迷妄した社会を望む行為だ」。
・ヒュセイン・ユクセル・ビチェン(現代法曹家協会会長):
「トルコでは1924年に『テッケやザヴィイェの閉鎖に関する法律』が施行された。今回の決議はこの法に明らかに反する。また、違憲でもある。決議の理由である『不妊と麻痺に悩む人に効果がある』という表現はトルコを政治反動と迷信へ導くものに他ならない。明らかに政治反動を扇動するものだ」。
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( 翻訳者:堀ノ内夏子 )
( 記事ID:1631 )