世界が注目 -オルハン・パムク裁判の次はオラン教授&カブオール教授裁判(Milliyet紙)
2006年02月13日付 Milliyet 紙

マイノリティーの権利についての報告書を書いたオラン教授とカブオール教授に対して開かれた裁判は世界から批判の的になっている。各国から約700人の研究者がエルドアン首相に抗議の手紙を送り首相の権限の行使を求めた。

トルコは、新刑法301条の「国家侮辱罪」について、最終的には取り下げられた作家オルハン・パムクの裁判に続き、世界の世論の反発を招く新しい裁判によって世界中の批判の的になっている。
憲法において「トルコ人であること(Türklük)」の代わりに「トルコ国民であること(Türkiyelilik)」という概念を用いるべきと主張する『マイノリティーの権利についての報告書』を執筆したバスクン・オラン教授と、この報告書を首相府人権委員会(IHDK)で承認させた同委員会元委員長のイブラヒム・カブルオール教授の2人に対し、刑法301条と、「反逆・敵対への扇動」に関する同216条について開かれた裁判が世界中に反発を引き起こした。

多くの国の700人を超える研究者や知識人が、裁判への抗議の意を表明する手紙をエルドアン首相に送った。手紙は、欧州評議会閣僚委員会の決議を受けてトルコにおける人権の擁護を目的に創設された公的な人権擁護組織であるIHDKの名の下に出されたため、オラン教授とカブオール教授が刑罰の脅威にさらされている現状を「言論・学問・科学の自由に対する重大かつ驚くべき攻撃」という言葉で表現していた。
また手紙では、人権規範を欧州評議会の基準に合わせるべきと主張するオラン教授とカブオール教授のそれぞれの人権が侵害されたことを「災難」と評する一方、この事件が欧州、特にフランスにおいてトルコのEU加盟の実現に向け働きかける人々の最も強固な議論をないがしろにするものであることも強調された。エルドアン首相に対しては、2人の起訴を防ぐため権限を行使するよう求めた。

■シラク大統領・セゼル大統領への手紙も
カブオール教授が教鞭をとるフランスのルモージュ大学の教員も、フランスのシラク大統領に送った手紙の中で、「20年間我が校の教員を務めるカブオール教授が裁かれることなど認められない」と主張した。シラク大統領も手紙の返答で、トルコ政府に対して(解決を)働きかけていくことを明らかにした。
国際法曹家協会のチェリル・サンダース会長もセゼル大統領に送った手紙で、この裁判に対する憂慮の念を表明した。欧州評議会人権コミッショナー局や国連人権高等弁務官事務所も裁判のゆくえに注目している。

■海外メディアに掲載
フランス、イタリア、ルクセンブルク、モルドバ、チュニジア、ベルギー、スイス、スペイン、モロッコ、イラン、カナダ、ドイツ、アイルランド、ルーマニア、ギリシャ、イギリス、デンマーク、ブラジル、アルゼンチン、セネガル、スウェーデン、フィンランド、カメルーン、ポーランドの大学の多くの研究者が署名した手紙は、近日フランスのルモンド紙、フィガロ紙、リベラシオン紙に意見広告として掲載される。

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( 翻訳者:堀ノ内 夏子 )
( 記事ID:1889 )