国会議員子弟の特権パスポート条項、制限しない方向で決着(Milliyet紙)
2006年02月23日付 Milliyet 紙

トルコ大国民議会(TBMM)内務委員会は、EU基準への適合という観点から出されていた「18歳以上の国会議員の子弟子女は、両親の赤色のパスポートの特権を行使しないように」という外務省の要求を却下した。

TBMM内政委員会は、組織間の対立で何カ月もの間結論が出ていなかったパスポート法改正に関して、外交(赤色)パスポートの適用範囲を広げることで合意に達した。
委員会のメンバーは、EU基準への適合という観点から出されていた「18歳以上の国会議員の子弟子女は、両親の赤色のパスポートの特権を行使せず」、「緑色のパスポート所有者に分類される」という外務省の要求を却下した。国会議員の子どもに課されることになっていた年齢制限は、他の赤色のパスポート所有者の子どもには適用されていない。

内務省が2年前に作成した法案は、昨日委員会の審議を通った。国会議員たちは、自らの子弟子女のため、議論を呼びそうな特権を法案に付け加えることに躊躇しなかった。
現行のパスポート法によると、「赤色のパスポートの所有者と同居し、結婚せず仕事にもついていない子女と、成年に達していない子弟」に、赤色のパスポートが与えられている。法案の原案では、EU基準に適合させるため、成人していない子どもにのみ、この権利が付与されるはずであった。

■25歳という年齢制限
委員会が昨日行った修正では、法案の国会議員に関する章に「成人していない、もしくは25歳を満了するまで教育を受けている子弟子女も外交(赤色)パスポートを持つ」という条項が付け加えられた。
これによると、18歳以上の国会議員の子どもは教育を受けていれば赤色のパスポートを持つことができる。一方で教育を終えた18歳以上の子どもは、結婚せず仕事についていなくとも赤色のパスポートを持つことができなくなる。他の外交パスポートの所有者については「成人していない子弟子女」という規定が保持された。

■「EUに説明がつかない」
外務省代表のハイレット・ヤラブ大使は、以前に、同様の提案に異議を唱えた際、こうした提案はEU法に反しており、持病などの理由がない限り18歳以上の子どもに対し親が責任を持つことはないと主張していた。ヤラブは「18歳の国民をいまだ成人でないと証明することは不可能だ」と語っていた。

■16市の議長にも特権パスポート
16の広域市議会議長、憲法裁判所副裁判長、そしてトルコ科学技術研究機構(TÜBİTAK※)会長も、昨日赤色パスポート交付の対象に加えられた。一方で法案の刑罰に関する規定は、新刑法への適合が図られた。これによると、パスポートを所持せずに外国へ出国した者には3年未満の懲役刑が科せられる。出国が有罪判決を受けた、あるいは徴兵や課税義務から逃れるために行われた場合、刑期は3年から5年となる。トルコにパスポートなしで入国した者には6カ月から1年の懲役刑が科せられる。隊商隊(キャラバン)のために設けられた「共通パスポート」の実施条項は、EU基準への適合を考慮して除外された。

■「議会は準備できていない」
内務省の代表は、現行のパスポート法では緑色のパスポートを所有する権利を有する人は300万人ほどで、うち97万人が実際に所有していることや、外交パスポートを所有している人の数はおよそ5000人であることを明らかにした。内務省代表は、「法案の修正には(特権パスポートの)交付適用範囲を狭める目的があった。だが議会はその準備ができていないことが分かった」と述べた。

法案の改正により、一定額以上の納税や3000万ドル以上の輸出を行ったため緑色のパスポートを所有する権利を得た実業家の数は500人ほどであると発表された。外務省代表は、緑色のパスポートを気前よく発行したため他国の一部から懸念が寄せられており、(特権パスポート対象者の)制限が実現しなかったことから国によっては新たにビザ取得を課される可能性があると述べた。

■7種類のパスポート
法案で議論された7種類のパスポートは次の通り。
1、外交(赤色)パスポート。
2、特別印付の(緑色)パスポート。(一定レベル以上の国家公務員に付与)
3、サービス印付の(灰色)パスポート。(外国に公務で派遣される者に付与)
4、一般用の(紺色)パスポート。
5、外国人専用パスポート。
6、通行証。行政文書や越境証明書
7、船や鉄道や飛行機の乗組員(搭乗員)に与えられる証明書

■赤色パスポートは何を保障する?
アメリカとイギリス以外の国は、トルコの外交パスポートにビザを求めない。税関で赤色パスポートの所有者の持ち物はチェックされない。しかし、このパスポート所有者の外交手続の免除や特権の行使のためには、いくつかの条件を満たさなければならない。まず、外交特権を得るために、特使や正式な国の代表団の一員としてこのパスポートを携帯する必要がある。パスポートを携帯していれば、その国の法律により裁かれない。赤色と緑色のパスポートの所有者は税金を払わなくてもよい。

※トルコ科学技術研機構(TÜBİTAK)・・・トルコ科学技術研究機構(TÜBİTAK) 1963年に科学研究の分野で指揮をつとめる目的で設立された。TÜBİTAKは管理と会計に関し自治権を持つ組織で、科学・技術政策の制定における政府の諮問機関をつとめ、大学や公共、民間分野で行われるR&D(Reseach&Development)活動に対し、財政的な支援を行う。さらにこの協会は、科学技術高等委員会(BTYK)の事務機関としての役割も持ち、科学者と研究者の育成を支援する目的で奨学金や褒賞の授与、情報サービスの提供、学術刊行物の出版、社会全体へ科学の紹介と興味啓発に向けた活動などを行っている。

参考URL:トルコ通信のHP。
http://www.byegm.gov.tr/YAYINLARIMIZ/kitaplar/turkiye2003/content/japan/384-385.htm 
(2006年2月25日)

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( 翻訳者:田林 玲 )
( 記事ID:1953 )