ムハンマド風刺画問題解決にむけて -トルコがイニシアティヴ発揮に意欲(Radikal紙)
2006年02月07日付 Radikal 紙


ヨーロッパ各紙の預言者ムハンドを描いた風刺漫画が引き起こした反発が収まらないなか、昨日約7時間半にわたり行われた閣議でも風刺漫画をめぐる危機的状況が取り上げられた。閣議の後レジェプ・タイイプ・エルドアン首相はこの危機的状況について世界の指導者らに書簡を出すつもりであると述べた。トルコは、ヨーロッパ連合(EU)とイスラム会議機構(İKÖ)の会合をとりもつ先導的役割を新たに果たすべく活動を開始した。

■「最後までフォローする」
閣議終了後、公正発展党執行本部会議に向かう途中質問に答えたエルドアン首相は、「トルコ首相としてEUの指導者、その他各国の指導者、イスラム世界の指導者に書簡を出すつもりだ。この問題をめぐる研究が行われている。それはİKÖでも同じだ。我々はこれら三者を集めたいと考えており、準備もすすめられている。事態を最後までフォローする。」と話した。
首相は、様々な文明同士の融和の発展に向けて前進の見られた時期に起こったこの風刺漫画事件が、イスラム世界で過激な行動の原因となっていることを指摘し、「単なる破壊行動や、放火、集会には賛成しない。思慮がなく非道徳的であり、自由の定義を履き違えた預言者への攻撃も受け入れることはできない。ヨーロッパの一部の新聞は、トルコで預言者キリストに対する非礼な行為があったと報道したようだが、私はこのような事件を見たことがないし、証人になりようがない。そんなことがあれば、遺憾の意を表明しただろう。」と話した。さらに首相は、一部のEU諸国から出された、トルコやイスラム諸国への渡航を自粛するように、との警告は誤っていると述べた。
トルコは、EUとİKÖの各三カ国からなる連合指導勢力を、三つの神聖な宗教(訳者注:ユダヤ教、キリスト教、イスラム教)の高位代表者らおよびコフィ・アナン国連事務総長と会談させる計画をしている。EU代表としては、議長国であるオーストリア、フィンランド、EU委員会、İKÖ代表としては、トルコ、アゼルバイジャン、イエメンとなる。これらの国々が参加する会議終了後には、各国に‘節度’を促す通達の発表が計画されており、会場としては「危機の原因となった国々から離れており、かつ国際報道機関が集結しやすい場所」にすることが予定されている。

■ギュル外相:不当な状況に陥ってはならない
昨日外務省で行われた会議で、アブドゥッラー・ギュル外務大臣が「なるようになる、と座って待っているわけにはいかない。」と述べたことが明らかになった。外務省が各方面を説得するために電話外交を開始したこともわかっている。ギュル外相は、レバノンとシリアでの過激なデモ活動には賛成しないとした上で、報道の自由の境界について強調し、「報道の自由というのは、無制限で、誰もがやりたいことをやり、書き、描き、侮辱し、結果を無視して思いついたことをやる、という意味ではない。疑いようもないことだ。」と述べた。さらに過激なデモ活動に関しても、「全イスラム教徒は、正当性のある状況で不当な状況に陥ってはならない。最も重要なのは、正当性があり且つ共感を得ている時に、突然不当な状況に陥らないようにすることだ。」と批判した。
外相は、「政府として分離主義、民族主義、宗教間の差別といった全ての問題に対し、国際協議や二者間協議で継続的に注意を促している。」と話した。風刺漫画が最初に掲載されたデンマークに対し「注意していただきたい。将来抑制できない進展が起こりうる。」と警告したギュル外相は、「反イスラムは残念なことに一部の国々で反ユダヤに取って代わり始めた。これには注意を払わなければならない。」と話した。
閣議の後政府報道官、ジェミル・チチェキ氏もトルコ一国の取り組みだけでは不十分であるとし、次のように話した。「まず、国際機関と市民社会の組織が責任を持ってこの緊張を取り除く必要がある。外相と国務大臣メフメト・アイドゥン氏および私自身が参加する会議の開催に向けて、我々は動いている。トルコとして、踏み出すべき何歩かがある。これらをもう少し具体化した形でトルコは今日まで続けてきた努力に新たな要素を加えていきたい。」




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( 翻訳者:倉本 さをり )
( 記事ID:1856 )