国会で「アメリカに死を」のシュプレヒコール:イラン核問題の安保理報告に対し シャルグ紙
2006年03月11日付 Sharq 紙

2006年3月11日付シャルグ紙7面

【政治部:イーラジ・ジャムシーディー】木曜日の国会公開本会議は、イラン核問題に関するムハンマド・エルバラダイIAEA事務局長報告が国連安保理に付託されたことに対する反応一色となった。

 ゴラーム・アリー・ハッダード=アーデル国会議長は、安保理付託を非難し、国会議員らも一斉に「アメリカに死を」「イスラエルに死を」のシュプレヒコールを上げ、イランは敵に対抗する準備はできていると強調した。また、195名の国会議員が声明を発表し、〈核活動一時停止解除法〉の即時実施を求めた。

 他方で、一部国会議員は批判的な姿勢を示し、〔アフマディーネジャード政権発足に伴って組まれた〕新たな核交渉団が、イラン核問題の国連安保理付託を阻止するために効果的な行動を取ることができなかったことを批判した。

 また別の一部国会議員は記者団とのインタビューの中で、イラン核問題が国連安保理に報告された現在、経済的見地からありうべき制裁に備える必要があると述べた。制裁が下された場合に備えて、〈影の予算〉を組む必要性がますます濃くなってきた、というのである。

 ▼国会で「アメリカに死を」のシュプレヒコール

 木曜日の国会公開本会議の冒頭は、「アメリカに死を」との議員らのシュプレヒコールで始まった。ゴラーム・アリー・ハッダード=アーデル国会議長が議事前の冒頭演説で、イラン核問題がアメリカとそのヨーロッパの追従者たちの圧力によって国連安保理に付託されたと述べた際、このシュプレヒコールがわき起こった。

 ハッダード=アーデル国会議長は演説の中で、「われわれは何度も、NPT遵守の考えを表明してきた。核施設の扉をIAEA査察官らの査察に対して開き、追加議定書の批准よりも前に、善意を示すために自主的に追加議定書に基づく査察を受けいれてきた。そればかりか、追加議定書が求める以上の協力を、IAEAに対して行ってきたのだ。ところが、われわれの交渉相手国は、理不尽な行動を示した。彼らは、自らが提起し、われわれが受け入れた合意を反故にさえした」。

 ハッダード=アーデル議長は続けて、次のように述べた。「彼らはイランの平和的確活動の継続に対して、客観的な保証という条件を課した。今日イラン国民は、この問題が国の独立に直結していることを、よく感じている。アメリカとのその追従者たちのイランに対する圧力は、われわれの独立への願望に対立するものである」。

 ハッダード=アーデル国会議長がこう述べた瞬間、国会議員らから「アメリカに死を」のシュプレヒコールが上がった。ハッダード=アーデル国会議長は、それから「アメリカは、何百発もの核弾頭を有し、世界の全人民の脅威となっているイスラエルを支援している。アメリカはまた、インドとも核協定を結んでいる。にもかかわらず、核に関する実験レベルの平和的研究をわれわれがする段になると、反対の声を上げる」と続けた。

 すると再度、国会議員らから「アメリカに死を」のシュプレヒコールがわき起こった。ハッダード=アーデル議長は最後に、次のように述べて、演説を終えた。「核問題において、国際法の枠組みでのわれわれの正当な権利を超え出るようなものを、欲しているわけではない。しかし、われわれはみずからの正当な権利から後退するつもりもない。アメリカは、もし石油国有化に対して反対したことで何らかの利益を得たというのであれば、この件に関しても利益をあげることが可能だろう〔*〕。イラン国民は決して、石油国有化をめぐる争いに関して、アメリカを許すことはないだろう。アメリカがイランに対する自らの行動を改め、イランの偉大なる国民に対して敬意を払わない限り、われわれのアメリカに対する憎しみは消えない」
〔注:1953年に石油国有化運動を推し進めていたモサッデグ政権を、CIAが仕組んだクーデターによって転覆させたことを指す。ハッダード=アーデルはここで、石油国有化運動を挫折させたアメリカは結局、イラン国民の不信に遭い、1979年のイラン革命ですべての利益を失った、ということを言っているものと思われる〕

 ▼国会議員らの非難声明

 国会公開本会議の終了時、195名の国会議員らによる書簡が読み上げられた。国会壇上において読み上げられた同声明では、次のように述べられている。「ここ数ヶ月、アメリカ主導の国際的な支配体制及びシオニスト・ロビーは、イラン・イスラーム共和国が核兵器製造を追求しているという、ありもしない事実を示そうと躍起となっている。周知の通り、核研究を行うというNPT加盟国として最低限の権利を固持・維持しているというだけで、イラン国民はさまざまな圧力に晒されている」。

 同声明はさらに続けて、「政府は、国際的に認められた規則に枠組み内で、話し合いや対話、IAEA査察官の受け入れ、そして核活動の一時停止という手段を用いて、信頼醸成に努めてきた。しかしながら、このようなやり方は大国の理不尽で過大な要求に遭った。一部の国は尊大にも、全体主義的態度から、核研究活動の停止という、法的根拠のない不当な要求をする始末である」。

 声明は最後に次のように述べている。「われわれイランの偉大なる国民の代表者は、全核活動の一時停止の解除を要求する法律の正確な実施を、政府に求める。われわれは、イランの政府及び国民が今日、これまで以上に、永遠の神に依拠し、最高指導者アーヤトッラー・ハーメネイーの指導を仰ぎ、それと一体となって、イスラーム革命及びイスラーム体制が守るあらゆる領域で、力強く抵抗する決意である」。

 ▼核問題、今週の国会で議論

 他方、ゴラーム・アリー・ハッダード=アーデル国会議長は、今週核問題の責任者を国会に招致し、同問題の国連安保理への報告に関して説明を求めることになるだろうと述べた。

 テヘラン選出でアーバードギャラーン連合の一員であるサイード・アブーターレブ議員は木曜日、国会発言の中で、国会の決議に基づき、イランの自主的協力はすべて停止されるべきであると主張した。同議員は、「政府の責任者らに対して、この法律の可及的速やかな実施と国会への説明を求めるべきだ」と述べた。これに対しハッダード=アーデル議長は、「国会決議はすでに実施されており、イランは核活動の一時停止を解除している。今後も、イランの核活動は継続されるだろう」と述べた。

 ▼〈影の予算〉に関する論争

 木曜日の国会公開本会議の終了時、数名の議員から〈影の予算〉を編成する必要性について、さまざまな見解が提起された。エリヤース・ナーデラーン議員は、影の予算を編成する必要はないとの見解を示したのに対し、〈原理派〉議員のモハンマド・ホシュチェフレ議員は、核問題を考慮に入れた予算審議が必要だとの立場を示した。

 ナーデラーン議員は「現在のところ、影の予算の必要性は感じられない。現在、交渉の雰囲気は良く、心配には当たらない」とした。アーバードギャラーン連合の一員である同議員はその上で、「もし必要ならば、新年〔3月21日〕明けに影の予算について議論すれば良いだろう」と述べた。それに対して、ホシュチェフレ議員は「現下の状況で、影の予算について議論することは意味のあることだ。この問題に関し、すぐにでも非公式会議を開くよう、国会議長に求める」と述べ、さらに「現在の状況では、われわれはより〈原理主義的〉に行動することが必要だ。なぜならば、現在世界では、国民的屈辱か、現実的脅威かの二者選択を迫るような計画が、イランに対して進行しているからだ」とした。ホシュチェフレ議員はさらに、「それゆえわれわれは、より現実的に行動する必要がある。状況はつねにわれわれにとって良い方向に向かうなどと想像してはならない」と述べた。

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:2037 )