セゼル大統領、エルバカン元首相「住居で服役」法案に拒否権(Milliyet紙)
2006年03月11日付 Milliyet 紙

 エルバカン元首相が2年4ヶ月を住居で服役するために出された法案が大統領から差し戻された。拒否権を行使した理由として、「公共の利益がなく、損害がある」ことが指摘された。公正発展党は法案を再び提出する意向である。

 アフメト・ネジュデト・セゼル大統領は、ネジメッティン・エルバカン元首相が「紛失一兆問題」で有罪判決をうけ2年4ヶ月を住居で服役するために出された法案に拒否権を行使した。

 エルバカン元首相の刑務所への入所を妨げるために、執行法典の第110条「住居での服役」は公正発展党政権により変更されようとしている。
 現在同条には、75歳以上で3年以下の服役を宣告された者の健康状態が刑務所での服役が不可能なほど悪い場合や、刑罰の理由となっている公的損害の賠償が済んでいる場合、住居で服役が可能になることが盛り込まれている。

■正当な理由はない
 今回拒否権が行使された改正案では、「公的損害の賠償」という条件が変更され、その代わりに「犯罪に起因して生じた損害が全く元通りに補填されることや、賠償によって完全に損害が一掃されることに関する法的義務が残る場合において」との説明が加えられた。
 このようにして、「紛失一兆問題」について対人訴訟が進行中のエルバカン元首相が、すぐにでも住居で服役できる一方で、公的損害賠償の支払いは数年後、判決が出てからとなる可能性のあることが認識された。
 セゼル大統領は、拒否権発動の理由として、問題になっている条項の「損害がすぐに払われること」という条件とともに、「有罪判決をうけた者の健康状態が悪いこと」という条件が取り除かれることを正当化する理由がないとした。セゼル大統領は、今回の法改正は元首相が、国庫援助をしなくても住居で服役できるようにするためのものであることを世論はわかっており、誰もそれを否定できないという現実があることを指摘した。また、今回の改正は個人のための主観的改正であって、他の人が利用する可能性があるとしても、改正が主観的なものだという現実を変えるものではないとした。
 特定の人々の利益のために法が作られることはありえないと述べたセゼル大統領は、公共の利益を目的としない改正は、憲法による法治国家の原理に反することになると主張した。また、公的損害への賠償が後からなされることに関し条項に盛り込まれた表現は今回の結果には関係ないとした。そして「住居で服役するために必要な“賠償がなされること”という前提条件が取り除かれていた」と指摘した。

■解放の道が開けた
 セゼル大統領は、拒否権を行使した改正案がトルコ大国民議会によって変更なしで再び大統領に提出された場合、承認を余儀なくされる。法が官報に掲載された日にエルバカン元首相の住居で服役する権利が与えられることになる。憲法裁判所が改正案を取り消したとしても、決定は遡って適用されないためエルバカン元首相に影響はない。



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( 翻訳者:清水 葉月 )
( 記事ID:2044 )