イスラエルがエリコの刑務所に突入、PFLP議長が投降(アル・アハラーム紙)
2006年03月15日付 Al-Ahram 紙

■ イスラエルがエリコの刑務所に突入、PFLP議長が投降
■ パレスチナ当局:責任はアメリカとイギリスにある
■ アメリカ政府:6日前に警護引き揚げをアッバース大統領に通知したと明言

2006年03月15日付アル・アハラーム紙(エジプト)HP1面

【ガザ、エリコ‐諸通信社】

 昨日イスラエル軍は、ヨルダン川西岸地区エリコの刑務所に突入した。イスラエルは、ヘリコプターの援護を受けたブルドーザーや装甲車で刑務所の壁を破壊した後、2001年のイスラエル観光相殺害事件の容疑者であるパレスチナ解放人民戦線(PFLP)のアフマド・サアダート議長とその仲間らを拘束した。

 この日、アメリカ・イギリスの警備隊が同刑務所の警護を引き揚げるとともに襲撃が始まり、パレスチナ警察の部隊は投降した。パレスチナ人治安部隊3人が死亡、35人が負傷、パレスチナ人収容者150人以上が投降するに至り、最後にサアダート氏と残りの収容者が投降した。その間、ガザ地区とエジプトを繋ぐラファハ通行所や西岸地区とヨルダンを結ぶフサイン国王橋は、国際監視団がそれぞれ自国政府の要請に基づいて撤退した後、閉鎖された。

 パレスチナ当局はイスラエルに対し、被拘束者に関する処置は引き続きパレスチナ側が担当し、イスラエルは軍事作戦を停止するようにと申し入れ、これに対するイスラエルの回答を待ち続けたが、イスラエルは結局この申し入れを拒絶した。パレスチナ大統領府は、イギリス・アメリカの警備隊がパレスチナ当局に通知することなく引き揚げたことを非難した。一方でアメリカ・イギリスの責任者らは、今月事前にパレスチナのアッバース大統領へ書簡を送り、治安上の理由で警備隊を引き揚げる予定であることを通知した、と発表した。アメリカ国務省報道官は、同省が、警備隊を撤退させる決定を6日前にアッバース大統領に伝えたことを明言した。

 サアダート氏は当初、占領軍が拡声器で投降を呼びかけたのを拒絶し、アル=ジャジーラTVとの通話で、自分の選択肢は対決か死かのいずれかしかないと述べた。

 イスラエル放送によれば、この作戦は、パレスチナ大統領マフムード・アッバースがサアダート氏解放を決定したとの情報に反応して行われ、この情報によってイスラエルのエフード・オルメルト首相代行が、サアダート氏と仲間を拘束する命令を出すことになったのだという。イスラエル軍は刑務所を包囲して一帯を封鎖したが、そこには学校も含まれており、パレスチナ児童800人がいた。パレスチナの各地では刑務所襲撃を非難する暴動やデモが発生し、武装した者たちがガザにあるブリティッシュ・カウンシルやEU事務所を攻撃、また、ジェニーンにあるアラブ・アメリカン大学のアメリカ人教授やフランス人女性医師二人を含む外国人市民8人が拉致された。この間パレスチナ各派の軍事部門は、サアダート氏の取り扱いについてイスラエルに警告を発し、もしサアダート氏やその仲間が暗殺された場合には容赦のない報復を行うと脅した。イギリス外務省は自国市民に対し、パレスチナを出国するよう要請した。



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( 翻訳者:森本詩子 )
( 記事ID:2077 )