イスラエルがジェニーンとガザを攻撃、ハマースは明日新閣僚名簿を提出(アル・アハラーム紙)
2006年03月17日付 Al-Ahram 紙
■ジェニーンとガザをイスラエルが攻撃、イスラエル兵一名死亡、入植者二名が負傷
■米公文書:「テロ放棄を条件に、ハマースにはイスラエルと和平を結ぶチャンスがある」
■中東和平四者会議は今週、パレスチナ人民への援助について議論
■ハマースは明日アッバース大統領に対し、新政府の組閣内容を提出
2006年03月17日付アル・アハラーム紙(エジプト)HP1面
【占領下エルサレム、ワシントン-諸通信社】
イスラエル占領軍は昨日朝、ヨルダン川西岸北部のジェニーンに対し大規模な軍事行為を実施、また戦闘機でガザ地区を攻撃し、パレスチナ人18人を拘束した。占領軍はパレスチナ各地に対する包囲の延長を決定し、パレスチナ人のイスラエルへの入国をイスラエル軍当局が許可する場合のみに限定した。
エルサレムの軍情報源によると、昨日朝、イスラエル軍のジェニーン攻撃の最中、パレスチナ人抵抗勢力との一時間以上に及ぶ銃撃戦でイスラエル兵一名が死亡、またこの作戦でパレスチナ人五人が拘束された。
また別の事件では、ヨルダン川西岸北部のナーブルス地区の入植地近くで、複数のパレスチナ人に車両を攻撃されたイスラエル人入植者2名が負傷した。
同じ頃、イスラエルの戦闘機数機がガザ地区北部の複数の標的を空爆した。イスラエル軍によるとこの空爆は、エリコ刑務所攻撃とパレスチナ人民解放戦線(PFLP)のアフマド・サアダート議長拘束に反発したパレスチナ人たちがカッサーム・ロケットと同種のロケット弾数発をイスラエル領内に発射したことへの報復として行われた。
イスラエルによるエリコ襲撃の背景に関し、米行政当局は中東の全方面に対して冷静さと自制を呼びかけた。またオーストラリア訪問中のコンドリーザ・ライス米国務長官は米政府とこの襲撃との間に距離を置こうとし、「アメリカはエリコ刑務所の保安責任者ではない。2002年の協定は、保安責任をパレスチナ軍に与えている。米・英の警備員配置は監視を目的としており、これ以上警備を続けることは不可能であるとパレスチナ・イスラエル双方にすでに通達していた」と語った。
一方ホワイトハウスのスコット・マクレラン報道官は「ジョージ・ブッシュ米大統領は今も尚、パレスチナとイスラエルの二国家樹立という構想の実現に向け真剣に取り組んでいる」と述べ、ハマースに武装解除とイスラエル承認を呼びかけた。加えて「ブッシュ大統領はこの構想実現のためのパートナーを探している」とも述べた。
デイビッド・ウェルチ米国務次官補(中東担当)は、米政府がパレスチナ人民に対し、ハマース率いる政府を通すことなく直接的な経済援助をするための措置を講じた、と発表した。
それと同時に昨日ホワイトハウスが発表し国家保安戦略を定めた文書には、ハマースがテロという自らの根を断ち、イスラエルとの関係を改善するのであれば、イスラエルとの和平を築きパレスチナ国家を設立するチャンスがある、と記載されていた。
米国務省は昨日、中東和平四者協議が今週中にベルギーのブリュッセルで会合を開き、ハマース率いるパレスチナ政府への支援について協議すると発表していた。
アダム・エレリ米国務省報道官は「我々はパレスチナ人民への援助とテロ組織への支援を明確に区別し続ければならない」と発言した。同じ頃ハマースは、パレスチナのアッバース大統領に全閣僚名簿と政府公約を明日提出すると発表した。
また、パレスチナ立法評議会内ハマース・ブロックのサラーフ・アル=バルダウィール報道官は、この組閣においてハマース・ブロック以外の会派との連立は一切ない、と強調した。
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( 翻訳者:玉井葉子 )
( 記事ID:2078 )