ムバーラク大統領、ヨーロッパ歴訪途上で経済問題・ダルフール問題等に関する談話を発表(アル・アハラーム紙)
2006年03月10日付 Al-Ahram 紙
■ ムバーラク大統領、ローマでベルルスコーニ伊首相及びチャンピ大統領と拡大協議
■ 新聞各紙編集長らに向けたムバーラク大統領の談話:「エジプトにおけるイタリアの工業生産と投資の強化のために新たな地域を割り当て」「エジプトは特定の基準にのっとった形でしか外国からの借款をしない…対外債務の投資型への切り替えを検討中だ」
2006年03月10日付アル・アハラーム紙(エジプト)HP1面
【ローマ-ウサーマ・サラーヤー】
ホスニー・ムバーラク大統領は、エジプト-ヨーロッパ諸国間の協力強化のため、昨日より始めたヨーロッパ歴訪の重要性を強調した。現在訪問中のヨーロッパ諸国にはイタリア、ドイツ、オーストリア、バチカンが含まれる。ムバーラク大統領はローマへの行路、新聞各紙の編集長たちと中東通信(MENA)に対し、「これらの国々の首脳との強固な関係は、エジプトとヨーロッパ諸国との関係強化、投資の誘致、エジプト経済の強化および雇用機会のさらなる創出といった方面に寄与する」とする談話を寄せ、雇用機会の創出にはさまざまな経済プロジェクトが実行に移され、そこで若者が雇用されるようになるまでの時間が必要である、と指摘した。
大統領の談話はエジプトの最大の商業パートナーであるイタリアとの協力関係にも及び、「イタリアとの協力関係は順調に進んでいる。現在、エジプトでの実現が検討されているイタリアの商業・工業計画が数多くあり、エジプトにおけるイタリアの工業生産と投資を強化するため、新たな地域を割り当てる件について、イタリア側との合意がなされる予定である」と語った。また大統領はドイツとの間に様々な分野での強固な相互協力関係が存在することを明らかにし、今回のヨーロッパ歴訪を通して、債務を投資型に切り替える件について話し合うだろうと指摘した。そしてエジプトは特定の基準に則った形でしか外国からの借款をしないと強調した。
また政府の仕事ぶりと大統領選での公約実現について大統領は、政府は公約実現に大きな重要性を置いていると述べ、デルタの各地域が得ているのと同等の関心を上エジプトの村落も得る必要があると強調、政府が上エジプトの沙漠地域に18村落、デルタ地域に12村落を新たに建設する事業に着手したことを指摘した。またフェリー沈没事故や鳥インフルエンザといった、昨今エジプト社会がさらされた災害がもたらす可能性のある、いかなるマイナス面をも乗り越えることができる力がエジプト経済にはあると強調した。大統領は、いくつかの国際的企業がBOTシステムを採ることは、エジプトの外貨獲得に悪影響を与えるため賛成できないとの考えを明らかにし、直接投資を奨励し、投資家たちを惹きつけることが、若者の雇用を増すための最善の方策であると述べた。
さらにムバーラク大統領はパレスチナ問題、スーダンのダルフール問題をはじめとするアラブ世界の重要な諸問題にも言及し、「ヨーロッパ歴訪の主な焦点はパレスチナ人民に対する国際的支援の継続および中東地域の安定実現に欠かせない平和プロセスの前進に当てられるだろう」と述べた。大統領は「国際社会がダルフール問題に介入することは、問題解決に悪影響を及ぼす」と強調し、ヨーロッパの高官たちと危機解決を支援するための最良の方法について話し合う予定であると指摘した。さらにダルフール問題に関するエジプト-スーダン-リビア首脳会談が今月20日にカイロで開催される予定であると発表し、ダルフールへのエジプト軍派遣の可能性が取沙汰されている件に関しては、「エジプトは軍を国外に派遣しないだろう。同じ問題はイラクの時にも出たことがあるが、いかなるエジプト部隊のイラク派遣も拒否した」と述べた。
(後略)
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( 翻訳者:田中裕子 )
( 記事ID:2236 )