米がハマース政権への連絡と援助を断絶、イスラエルによる一方的国境策定の容認も示唆(アル・アハラーム紙)
2006年03月31日付 Al-Ahram 紙
■ アメリカはイスラエルが独断で最終的な国境案を策定することを受け入れると約束
■ 米政府はハマース政権との連絡を絶ち援助も停止
■ ブッシュ大統領:「民主主義への支援は、選挙で選ばれた政府への支持を意味するわけではない」
2006年03月31日付アル・アハラーム紙(エジプト)HP1面
【ベルリン-諸通信社、ワシントン-ホダー・タウフィーク、モントリオール-ジャマール・ザーイダ】
パレスチナ-イスラエル紛争の最終的調停に向けたアメリカの立場が目覚しい変化を遂げつつある中、コンドリーザ・ライス米国務長官は、イスラエルが2010年までにヨルダン川西岸地区の最終的な国境線を一方的な形で策定することを米国政府として受け入れる可能性を示唆した。同じころ、米国政府はハマースが組閣したパレスチナ政府との連絡を途絶すると決定した。
ライス長官は昨日ヨーロッパに向かう機内で、和平交渉再開が不可能なことが確実になった場合には、パレスチナ側との協議なしにイスラエルが最終的な国境線を策定するという、エフード・オルメルト首相代行率いるカディマ党の計画を米国が支持する可能性を否定しなかった。
ライス長官は昨年のイスラエルのガザ地区からの撤退成功やハマースのパレスチナ評議会選挙での勝利と新政府発足は、中東和平プロセスの力学を変えたと指摘、しかしながら最終国境の策定において、パレスチナ側の同意の有無にかかわらず、イスラエルが西岸地区に建設中の分離壁を利用するというオルメルト首相代行の考えについて、アメリカ当局者はいまだ同氏と議論を交わしてはいないと語った。ライス長官はイスラエルで数十回も自爆を行ったハマースとの交渉を想像することは困難であると強調、パレスチナ人民の望みとパレスチナ-イスラエル紛争の平和的解決を代表しているのは今でもアッバース大統領であると見なした。
(中略)
アメリカは同国の外交官や当局者に対し、ハマース政府が憲法宣誓を行った一昨日以降、パレスチナの省庁との一切の連絡を禁止した。アメリカ当局者によると、中東勤務の米外交官やその他関係者に対し電子メールで通達があり、ハマースのメンバーか否かにかかわらず、ハマースが任命した閣僚と連絡をとった場合、即座に処分が下されると警告した。
(中略)
一方、ブッシュ大統領はパレスチナ人民への援助を表明したが、イスラエルの破壊を望むと公言しているハマースの政府には一切の金銭が渡るべきではないとする立場をあらためて確認した。またフリーダム・ハウスでの講演の席で同大統領は、ハマース率いる政府への援助には何ら意味がなく、アメリカ政府は民主主義と選挙の実施を支援するが、その結果選ばれた政府を援助しなければいけないわけではないと語った。
(後略)
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( 翻訳者:玉井葉子 )
( 記事ID:2257 )