ライス国務長官のアンカラ訪問 -相互に信頼を確認しあった16時間(Milliyet紙)
2006年04月26日付 Milliyet 紙
アメリカのコンドリーザ・ライス国務長官がアンカラを訪問した。今回の訪問では、米・トルコ間の不信感払拭のため、二国間で基準概念となる『戦略構想文書』の作成が決められた。ライス長官は、「米・トルコ関係には大きな信頼をよせている。トルコは我々にとって戦略のキーパートナーだ。」と述べた。しかし北イラクのPKKに対する軍事介入をトルコ政府が求めたことについては具体的な回答をしなかった。
アテネ訪問につづきアンカラを訪れたライス国務長官は、セゼル大統領、エルドアン首相、そしてギュル外相それぞれと会談を行った。16時間におよんだ訪問では以下の項目がとりあげられた。
■信頼を回復
ライス国務長官の訪問は、トルコが2003年3月1日にイラク派兵を拒否して以来、なかなか回復できなかったトルコ・米国関係の回復につながった。セゼル大統領は、両国間の相互信頼関係は地域と世界の平和のために重要だと強調し、これをさらに強化する決定をしたと発表した。ギュル外相も、2カ国間がより緊密に協議をし戦略的友好関係を未来につなげるために、『戦略構想文書』を作成することで合意に至ったと述べた。ライス国務長官はこの文書により『両国は継続的な会談をもつことができ、また両国に利益をもたらすアジェンダの集中協議が可能となるだろう。』と述べた。同氏はトルコとの関係について「大きな信頼をおいている、まさに鍵となる戦略的パートナーだ。」と話した。米・ト間において重要な役割を担う『戦略構想文書』は非公開文書ではなく、公開される予定だ。
■トルコは成功例
ライス国務長官は強力で民主的な中東をつくりあげるために、トルコは大切な同盟国であり、頼もしい支持者であると述べ、次のように続けた。「トルコは民主主義とイスラームが少しも衝突することなく共存している成功例だ。トルコで人々は信仰を実践する一方で、自由を享受している。広域な中東地域においてトルコがこのバランスをうまく制御していることは、この国に大きな利益をもたらすことだろう。」
■PKK問題を解決すべき
PKK問題についてライス長官にもっとも厳しい警告をしたのはセゼル大統領だった。大統領は、「わが国の人々はとても神経質なっている。一日もはやく北イラクで起こるテロを解決する必要がある。」と述べた。一方、エルドアン首相も、「毎日犠牲者が出ている。友好国であり同盟国である貴国がテロに対して効果的な対策を打ち出すことを期待する。」と話した。ギュル外相は、北イラクが統治者不在のためPKKの『訓練キャンプ』と化していると指摘し、次のように続けた。「PKKは越境して攻撃してくる。我々がしていることは国境をより厳重に守ることなのだ。イラク政府が自らの治安部隊を編成しイラク国内のテロリストを取り締まるようになれば、我々のすることはなくなる。トルコが近隣諸国の領土をねらっているというようなことはない。」と話した。ギュル外相は、「貴国からのより積極的に関与を望む。」と述べた。
■責任はイラクに
ライス国務長官はPKKについてトルコと同じ考えであると述べた。そして自国の領内でテロ組織にテロ活動をさせないというイラク人達の努力が一枚岩であるべきだと訴えた。同国務長官は、「イラク政府樹立後、我々はこれまで以上の力を注ぐだろう。」とも述べ、アメリカ、トルコ、そしてイラクの三国間の「安全に対するメカニズム」をよく精査しつつ、PKK撲滅のため協働することを約束した。
■北イラク情勢はもともと困難
ライス国務長官は、トルコ軍による北イラクへの介入に否定的であることを次のような言葉で示した。「PKKに対して行われる様々な介入が、北イラクの安定に悪影響を及ぼしたり、もともと困難な情勢をさらに悪化させたりしないようにする必要がある。」
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( 翻訳者:新井 慧 )
( 記事ID:2294 )