行政裁判所から政府へ3つの警告(Radikal紙)
2006年05月11日付 Radikal 紙
行政裁判所の新院長スムル・チョルトゥオールは、世俗主義に新定義を求めるトルコ大国民議会(TBMM)ビュレント・アルンチ議長に対し、現行の世俗主義に強い愛着を示すメッセージでもって答える一方、アフメト・ネジュデト・セゼル大統領を支持した。
行政裁判所の設立138周年記念式典には、セゼル大統領、エルドアン首相など大臣のほかに高等裁判所関係者の姿もあった。
先週、行政裁判所院長に選ばれたチョルトゥオールは、演説の中で次のように述べた。
●エルドアンへの答え:(エルドアンの、裁判所が政府の働きを邪魔している、といった不平の言葉に関して。)
行政裁判所は、憲法の定めるとおりに合法か否かの審査を行っているのであって、行政の合法的活動には介入していない。ただ、法の優位性を目指しているだけである。この責務遂行のために行政 審査院に向けられることとなった批判、不平には何の正当性もない。批判は、法の優位性の捉え方の違いから生まれていると考えられる。
●裁判所の決定に従うべき:
政府が、いくつかの判決に従わなかったり、履行を遅らせたり、過去に出された判決を理由に判決の必要性を正当に認めないような状況が見られる。
●継続的な寡占化:
わが国では、政権交代があるたびに、上位の公務員がみな交代させられるという状況が続いている。こういった状況は、能力のある熟練した公務員が業務への情熱を失う原因となっており、そのうえ行政の不安定化をも招いている。行政において、多くの弊害を生む慣習は続けられるべきではない。
●深刻な二つの脅威:
今日のわが国における基本的な2つの問題のひとつが分離主義であり、もうひとつは反動主義である。
わが国において、国民という絆で結ばれた者はみなトルコ人である。トルコ人という概念は、人種主義に依拠するものではなく、人間を結びつける要素である。国内外からの支援を受けている分離主義や反動主義の動きは、トルコ共和国の存在、一体性にとって、深刻な脅威であることは明白である。
●世俗主義の警告:
宗教と良心の自由の範疇を超えるような、法治国家の秩序に打撃を与えようとする複数の反動主義勢力が出てきたことを示す事実があることは疑いもない。
世俗主義の原則が、憲法と裁判所の判決に従って実行されていくこと、犠牲になることなく実行されていくことが必要なのである。世俗主義原則は、神聖な宗教的感情が国家の業務や政治に決して干渉はできないことを明らかにしており、世俗主義が何を意味するのかも明確に示している…。
●宗教の自由の制限:
宗教と良心の自由は、公共の秩序を壊すまでにならなければ、国家の監視も行われはしない。
しかし宗教が、個人の信仰の範囲を超えて、社会生活に影響を及ぼすような行動に転じた場合には、公共の秩序と安全を守る目的でもって憲法の定める制限を課すことが、世俗主義原則の求めるところなのである。
宗教が国家業務を支配することはできない。国家の社会的、政治的、そして経済的構造は、宗教的な決まりに依拠させるわけにはいかない。
■エルドアン:我々は敬意を払っている
エルドアン首相は、演説が終わるとすぐに部屋を離れた。チョルトゥオールは、エルドアンが前もって早めに出て行く予定であることを伝えてきていたことを話した。エルドアンは、オーストリアに発つ際、「我が国の話題になっていないことを考えるのは正しいことではない。こういった考えに対しては、我々はもちろん憲法の範囲内で敬意を払い続けようと努力している。敬意を払わざるを得ないのだ」と述べた。
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( 翻訳者:田林 玲 )
( 記事ID:2406 )