「バクラヴァはギリシャのお菓子」に大反発(Milliyet紙)
2006年05月12日付 Milliyet 紙
ヨーロッパ連合(EU)により編纂された小冊子に、バクラヴァが‘ギリシャ人の国民的菓子’として掲載され、トルコのバクラヴァ職人が反発を示した。バクラヴァ職人は文化観光省の対応を求め、EUに対し抗議を行うことを明らかにした。
■「ギリシャ人向けに教室まで開いた」
老舗バクラヴァ店の「カラキョイ・ギュルルオール」代表取締役ナーディル・ギュルル氏は、バクラヴァがトルコ人のものであることは全世界が認めていると強調し、‘バクラヴァはギリシャ人の国民的菓子である’などという記述は必ず訂正されなければならないと述べた。同氏は、EUに対し抗議を行うとし、「トルコ国民よ悲しむことはない。我々はバクラヴァを手放すつもりはない」と話した。
さらに同氏はギリシャ人のバクラヴァ職人団体に教室を開催した経験を話した。続けて全バクラヴァ職人に対し店の前にトルコ国旗を掲げるよう求め、バクラヴァの所有権を主張して欲しいと述べた。
■ユフカの故郷
「バクラヴァ店ギュルルオール」の代表取締役ファルク・ギュルル氏も、中東、地中海東部、バルカン、コーカサスに居住するすべての民族がバクラヴァを自分たちの伝統菓子のように見せており、たしかにバクラヴァをオスマン帝国期の菓子とも言えることを強調。その上で、「バクラヴァの主材料であるユフカの故郷は中央アジア。ユフカを最初に作ったのもトルコ人だ。11世紀に書かれた辞典Divan-I Lugat-it Turkに、‘ユヴカ’として登場する。」と話した。
同氏は、学者チャールズ・ペリーによる「バクラヴァは、中央アジアのユフカとイランで作られるピスタチオとヘーゼルナッツ入りの生地が合わさって生まれた」との仮説を引用し、バクラヴァに関する最古のオスマン帝国期の記録は1473年のものであると話した。
■文化観光省は説明すべき
バクラヴァ・菓子職人組合(BAKTAD)委員長メフメト・ユルドゥルム氏も、バクラヴァがトルコの菓子であることは史料によって証明されていると説明。これを世界に知らしめるため、文化観光省と共同で広報活動を行う必要があると指摘した。
■アメリカが発端
バクラヴァの本場ガズィアンテプのバクラヴァ職人らも、ギリシャ人がバクラヴァを我が物にしようとする動きに反発。三世代に渡りバクラヴァ職人をしているというブルハン・チャーダシュは、バクラヴァがトルコ人のものであることは、2004年に開催された世界食品シンポジウムでもペリーによって述べられたと説明。「バクラヴァがトルコ人のものでることは公然だ。私が思うに、ギリシャ人がこんなことを言い出したのはアメリカのバクラヴァ市場が発端だろう。アメリカで一日10000から15000トンのバクラヴァを生産しているギリシャ系メーカーがある。これらの会社は製品をギリシャのバクラヴァとして紹介しているのだ。」と話した。
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( 翻訳者:倉本 さをり )
( 記事ID:2411 )