妻を殴ったAKP議員に“身内”からも非難の声(Milliyet紙)
2006年05月13日付 Milliyet 紙
妻を殴ったハリル・ウリュン国会議員について、公正発展党(AKP)党内では懲罰機構を発動させる指示は出されなかった。AKPと共和人民党(CHP)の一部の女性議員からは、「ウリュンは絶対に罰せられるべき」との声が上がっている。
浮気をめぐって口論となった妻のエスマ・ウリュンを「私には不逮捕特権がある、どこでも好きなところへ訴えろ」と言いながら殴ったAKPコンヤ選出のハリル・ウリュン議員に対し、女性国会議員が反発した。ニメト・チュブクチュ女性・家族問題担当国務相も、「世間で衆目を集める人物がこのような事件で人々の記憶に残るのは大変嘆かわしいことだ」と述べた。しかしエスマ・ウリュンが訴えを取り下げたことから、AKP執行部は、ウリュン議員について懲罰機構を発動させることは考えていない。
■逃げ口上的返答
ハリル・ウリュン議員について調書を準備するか否かは検察が決定する。国会AKP会派のサリフ・カプスズ副会長は、「調書が提出されたら党の決定はどうなるのか」という質問に、「この問題は家庭内の出来事のようだ。我々はまだ事件の真相を知らないし、検察がどうするかも知らない。調書が提出されたらその時に吟味する」と答えた。
社会問題担当のニュクヘト・ホタル・ギョクセルAKP副党首も、「私がこの件に関する質問に答える必要はない」と述べ、見解を示さなかった。
■女性議員の声:決して好ましいことと受け止められない
●ニメト・チュブクチュ(国務大臣):暴力は、誰からのどのような理由のものであれ認めることはできない。もし報道が正しいのならば、同じ党の議員であっても、世間で衆目を集める人物がこのような事件で人々の記憶に残るのは大変嘆かわしいことだ。家族のきずなと安らぎを壊すような態度は決して受け入れられない。
●ゼイネプ・テキン・ボリュ(AKP-アダナ):ハリル氏の行為を遺憾に思うとともに、事を公にした奥様を賞賛する。国会議員は、不逮捕特権を(自らの保身のための)よろいとして使ってはならない。無知無学な人間でさえやってしまったら許されないであろうことを、世間の模範である国会議員が行ってはならない。絶対に罰を与えるべきだ。
●ファトマ・シャーヒン(AKP-ガズィアンテプ):これも家庭内暴力の一部だ。特に世間の注目を集めたり、特定の役職にある人は一層注意する必要がある。我々の保守的な価値体系の中にも、信仰心にも、文化や文明の構造にも暴力は存在しない。
●ハリデ・インジェカラ(AKP-イスタンブル):暴力自体を非難することと、ある人に引きつけて非難することはそれぞれ別の事である。もしかしたら(ウリュン夫妻は)明日お互いに許し合うかもしれない。我々はこういう形で夫妻を非難しながら彼らを後戻り出来ないところに追いやっている。
●レムジイェ・オズトプラク(AKP-アンカラ):同僚の国会議員がこのような事件で話題になるのはとても悲しい。私は真相を知らないのでこの事件に関してコメントしたくない。
●オズレム・チェルチオール(CHP-アイドゥン):我々は倫理委員会を設置した。これは議会をEU基準に満たすという意味合いもあった。結果的にこのような事件に出くわした。
●ビフルン・タマイルギル(CHP-イスタンブル):国会には暴力を防ぐための委員会が設置された。こうした状況で女性が被害を受ける事件が起こったのはとてもつらい。
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( 翻訳者:日南田桃子 )
( 記事ID:2415 )