イラン核問題に対するヨーロッパの提案公表  シャルグ紙
2006年05月21日付 Sharq 紙

2006年5月21日シャルグ紙

【政治部 エフサーン・アブタヒー】核問題に関してイランに対するヨーロッパの提案の詳細が昨日明らかになった。折しもハミードレザー・アーセフィーイラン外務省報道官が、この件に関しては、正式にヨーロッパ側からの提案を待って見解発表を行うと伝えていた。

 この西側当局筋による報告は、イランに対するEUの提案に対し欧米間に意見の相違があることやイランへの制裁措置にロシアが異議を唱えていること、また水曜の会合の結果が不透明であることを物語っている。

 安保理常任理事国5カ国とドイツの高官は水曜、ロンドンでイランに対するヨーロッパの提案について、協議を行う予定になっている。

 フランス通信によると、ヨーロッパの提案は、イランがウラン濃縮活動を停止するのであれば、イランの原子力産業やその他の産業を支援するよう世界の大国に呼びかけている。反対に、イランが自国の核活動を継続するのであれば、ロシアと中国はイランへの制裁を認める側に回ることになるとしている。制裁には武器の禁輸も含まれる可能性がある。

 ヨーロッパ側の提案はさらに、もしイラン政府が核問題についての協議を再開して、その間は濃縮活動を停止し、さらにIAEA調査団の抜き打ち査察を受け入れるならば、その見返りとして国際社会が安保理でのイランの核問題協議を中止することに合意するだろうと伝えている。

 英仏独のヨーロッパ三ヶ国は、軽水炉数基の建設と核燃料貯蔵庫の設置にむけ、世界の大国がイランを支援すべきだと提案している。この提案では、もしイラン政府が核兵器製造を目的としないことを保証するなら、イランへの商業用航空機の禁輸を解除するようアメリカに対しても要請しているが、逆にイランがEUの要請に従わない場合は、イランに対する制裁、特に武器の禁輸も辞さないとの考えを示している。

 この提案には、イランへの武器禁輸によって最大の影響を受けるのが、イランと多岐にわたって商業的、軍事的関係を持つロシアと中国である、という背景がある。そのため、ロシアと中国が、水曜日に行われる安保理常任理事国5カ国とドイツの代表との会議の中でイランへの制裁に票を投じるか否かという疑問が残る。

 今週水曜、ヨーロッパ三ヶ国とアメリカ、ロシアおよび中国の代表らで検討される「ヨーロッパの提案」の4ページにわたる草案には、イランがこれらの提案に同意しなかった場合を見越して十五に及ぶ制裁項目が盛り込まれている。

 しかしこの草案ではロシアに対して、イランのためにウラン濃縮を実行し、イランをロシアの国際燃料サイクルセンターの一員として正式に認めるといった権限を与えている。

 ヨーロッパの外交関係者たちは、その草案が安全に関する項目に触れてはいるものの、「安全の保証」という文言は用いられていないと強調し、「安全の保証」という文言が用いられなかった理由として、アメリカが反対するからだとしている。
 
 アメリカは常にイランが核の平和的計画の裏で核兵器製造を目論んでいると主張しているが、イランは常に核計画の目的について単に平和的利用だと強調している。

〔後略〕

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( 翻訳者:南 龍太 )
( 記事ID:2489 )