小学生用の交通安全ガイドブックに宗教的メッセージ(Milliyet紙)
2006年05月22日付 Milliyet 紙

公正発展党が多数派を占める市役所が配布する「あきれた著書・ガイドブック」がまたひとつ増えた。ベイオール市役所が市内の小学生に配布するために交通安全ガイドブックを作成した。そのガイドブックでは、交通事故が「アッラーの思し召し」であるとされ、「交通事故は定命ではないといった話は、神の唯一性の上に成り立っている我々の信仰に反する。」と書かれている。

子どもたちに交通規則を学ばせる目的で配布される予定の「子供のための交通知識と教育」というガイドブックは、自身を「宗教関係者」であり「イスラム神学者」と名乗るハリス・エジェ氏によって執筆された。初版として1万部印刷されたこのガイドブックの序文は、ベイオール市のアリ・ミスバフ・デミルジャン市長が執筆した。このガイドブックは2部構成で、交通教育について説明されている「交通および交通事故に関するコラム」では、議論の余地がある次のような表現が見受けられる。


■事故はアッラーの思し召し

「当然のことながら、他の大なり小なりの様々な事件と同様に、交通事故もアッラーの思し召しなのだ。全てはアッラーの意志に結びついているからだ。アッラーの知識や御意思を離れては何も起こらず、また起こりえないのだ。一枚の葉でさえアッラーの許しなしに揺らめくことはできないのだ。」
この点について一部の人がいう「交通事故は定命ではない」という話は、神の唯一性の上にたつ我々の信仰に反している。万世を無から創造するのは、崇高なるアッラーなのだから。」

ガイドブックにある「アルコール飲料が及ぼす危害」という章では、次のように書かれている。
「アルコール飲料と薬物問題は、社会的犯罪の基本的要因といえるものだ。我々の信仰ではアルコール飲料や薬物は禁じられているのだ、という前提から出発して、今日までにもし個人、社会、世論が宗教上の善悪の判断力をもってアルコール飲料と薬物問題について本格的な対策に取り組むことができていれば、大きな災難であり不幸である交通事故を減らすことができただろう。」
ガイドブックでは、アメリカ人の著名な教授の発言を次のように紹介している。
「預言者ムハンマドは、コーランを通して飲酒を禁じ、人類をアルコールがもたらす害から守ったのだ。20世紀の現代アメリカでは、さまざまなプロバカンダや技術の進歩にもかかわらず、アルコール禁止の成果を得ることができないでいる。」
そしてガイドブックではこう続けられている。
「アルコールと薬物の及ぼす害から個人、家族、社会を守るために世界は預言者ムハンマドの言葉以上に効果のある対策をとれないでいるのだ。飲酒を慎みなさい。アルコール飲料は全ての悪の根源なのだから。」


■「皆、自分のルールに従い行動する」

この本を執筆したハリス・エジェ氏は、自身を「イスラム神学者」ならびに「宗教関係者」と称している。同氏は、長期間にわたりイスラム関連の出版をてがけるファズィレット・ネシリヤト出版社に編集者として勤務している。また一部の市役所で女性向けの社会プログラムで講師を務めていることも分かっている。

ミッリイェト紙にエジェ氏は次のように話している。
「深く考えがめぐらされ、細かな計画が立てられて出版された本ではありません。しかし多くの人の支持を得ています。『規則に従わなければ、定命はこのように現れる。』という意味で説明がなされているのであって、絶対的に定命に結びつけているわけではありません。イスラム的な強い主張はなく、この世と宗教、両方からのアプローチがあります。結局、各人は自分の意向にそって行動するわけですし。ガイドブックのコラムで無味乾燥な交通知識を説明する代わりに、特定のメッセージを伝えようとしているだけのことです。」


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( 翻訳者:坂 泉穂 )
( 記事ID:2492 )