スカーフは復古主義 -デミレル元大統領の発言に公正発展党が抗議(Milliyet紙)
2006年05月02日付 Milliyet 紙
デミレル前大統領は、「憲法(改正)ではスカーフ問題は解決しない。スカーフを着用していても学べる場所に、例えばアラブに行くがいい。これはスカーフ着用の自由という問題ではない」と述べた。これに対して公正発展党(AKP)から直ちに抗議が起こった。AKP会派副代表のファルク・チェリキ議員は、デミレル前大統領を厳しく批判した。
政府は陸軍司令官のヤシャル・ビュユクアヌト大将が参謀本部長に任命されるのを妨害できないだろうと話すスレイマン・デミレル第9代大統領は、「権限はあるので、任命しないこともできるが、そのような卑怯な手で任命を妨害しようとすることは、この上ない愚行だと思う」と述べた。デミレル前大統領が先日ハベルチュルクTVで語った話の概略は以下の通り。
・大胆な決定を望む首相は「もしかすると私はこの決定をしたために明日首にされるのか?」と考えるものだ。(エルドアン首相は)この恐怖から逃れられてはいない。
・今日、組織間に軋轢(あつれき)が生じていることは明らかだ。この軋轢がより深まった状況が危機であるといえる。
・26%(の支持)によってエルドアン首相が今国会で大統領に選ばれるとしたら、不満を生み出すだろう。
・大統領夫人がスカーフを着用しているからといって軍部が軍事的手段に訴えることはない。しかし、夫人が政治的シンボルとしてスカーフを着用していることは、トルコでもスカーフ論争があるのだから… 重要な組織(軍部など)はそのことに好意的でない… 不満を生むだろう。スカーフ問題はつくられた問題だ。
・AKP内部にも不協和音がある。それを決して彼らは認めないだろうが。
・(トルコ大国民議会議長ビュレント・アルンチ氏に対して)憲法改正でスカーフ問題を解決することはできないだろう。なぜなら憲法裁判所、行政裁判所、欧州人権裁判所の決定があるからだ。それらを無視できるか、やってみればいい。大学があるとして、そこには規則がある。どうしてもスカーフを着用したまま学びたいのなら、そのように学べる場所はあるのだから、そこに行くがいい。アラブのような所にはそうした場所がいくらでもあるから、そこに行きなさい。これはスカーフ着用の自由という問題ではない。復古主義だ。
■AKP議員:「ヒトラーのよう」
公正発展党会派副代表のファルク・チェリキ議員は、これらの発言を受けてデミレル前大統領を激しく批判した。チェリキ氏は、昨日トルコ大国民議会で行った記者会見で、「80歳を越えた政治指導者が今日取るべき姿勢はこのようなものであってはならない。“私はできなかったから、君たちがやってくれよ”という姿勢の方が、ご自身の心持ちにとってもトルコにとってもずっといい」と批判した。チェリキ氏は次のように続けた。
「デミレル氏は(AKPへの)対抗勢力を作り出すことにご執心されている。あるいは対抗勢力が生まれないことにやきもきしているのかもしれない。同時に政府に対する懸念材料を作り出すご努力もしている。別の見方をすると、ご自身が社会から忘れられつつあることへのご不満があるようだ。(政権から)6回去って、7回、いや8回戻ってきたのか…
■総統的なやり方
(デミレル氏は)満ち足りなさや、熱望に駆られている。民主主義の国に生まれた子どもを、反民主主義の道に導くのはおかしなことだと私は思う。「その身なりをしている者はゲットー行きを宣告されなければならない」というのでは、まるでヒトラーの総統的なやり方だ。トルコの特定のエリートは、世俗主義を自らに与えられた財産のように考えようと努めているが、根本的な問題はこれだ。自分の繁栄を追及しているのならば、国民の繁栄を考えていないのは明らかだ」。
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( 翻訳者:栗林尚美 )
( 記事ID:2335 )