謎の多いテロ対策法改正:オジャラン釈放への一歩か(Milliyet紙)
2006年05月03日付 Milliyet 紙
オジャランの釈放を可能にするテロ対策法案の改正について、参謀本部、保安隊と警察庁は、「我々はそんなことは望んでいなかった。」と述べた。チチェキ法相は、秘密会議を提案した。
テロ対策法案が論議されているトルコ大国民議会の司法委員会において、同法案の中にテロリストのアブドゥッラー・オジャランが将来釈放される可能性に言及している項目があり、それがどの段階で、誰の要望によって付け足されたのか激しく討論されている。昨日の委員会の会議において、参謀本部のオルハン・キョプリュ准将は、「8月に我々が発表した提案では、この項目に関する改正はまったくなかった。」と述べた。保安隊代表のガーズィ・チョケル大佐も、議論を呼んでいる項目に関する要求はしなかったと述べた。
■ある代表者が提案した
警察庁代表のハカン・チェティンカヤも、「我々はこのような提案をしなかった。アンタリヤで会議が行われた際、我々は参加しなかったが、裁判所での提案を我々全員が知っていた。」と話した。
一方、最高裁第9刑事裁判所のエクレム・エルトゥールルは、裁判所での会議で、誰かは思い出せないが、ある団体の代表者の提案で、この項目が話題になり、恩赦について議論されたと語った。
「36人の代表者の間で何が話されたかは全員の知るところだ。」と述べたチチェキ法相も次のように話した。「私たちは夜の暗闇にまぎれて秘密の法案を作っているわけではない。‘どこから、どうやって入りこんだのか?’などと騒ぐのはまるでどこかにヘロインが置かれて、これは違法だからと、その犯人を捜しているようだ。」
チチェキ法相は、恩赦の取り決めを永続的なものにしているトルコ刑法第221条に関する批判に対して、かばんから‘秘密’という印が押された国防省、保安隊、警察庁の書類を出した。チチェキ法相は、「誰が要求したかは明らかだが、ここには秘密の印がある(ので公表できない)。この件は、公的な必要性から政府の取り組むべき課題となった。秘密の会議をしてお互いに知っていることを話そう。」と述べた。委員会で口頭の要求が増えていることをうけて、会合は来週に延期された。
■密告は似合わない。
エルドアン首相は、この件についての共和人民党党首のバイカルの批判に答えて、「トルコ共和国政府に密告は似合わない。」と述べた。
■バイカル:あなたを信頼できるわけがない。
共和人民党党首のデニズ・バイカルは、論議されている第6条を誰が提案したのか明らかにする必要があるとし、「(誰の仕業かわからなければ)我々は度がないメガネを買ってしまうようなものだ。度が合うメガネならそれをかけるまでだ(誰なのかわかれば状況が見えてくる)。」と語った。バイカル党首は、チチェキ法相の「秘密という理由で公開しない」という発言にも次のように反発した。「法相の手にある記録には誰が提案したか書かれている。公開すべきだ。この法律に、ロボットの絵を書いたのは(余計な物を付け足したのは)誰だ?」
2004年10月6日付のEUの進捗報告書において、オジャランの再審が望まれていることも示唆したバイカル党首は、「オジャランの再審要求がEUの根本的な要求だと明らかになるだろう。アージャ(注1)とクルジュ(注2)の件では、あなたは、随分と汚いことをしたではないか。そんなあなたを信頼などできるわけがない。」
(注1)アージャ:メフメト・アリ・アージャ。1981年に時のローマ法王ヨハネ・パウロ2世の暗殺を企てたとして死刑判決を受ける。2006年1月、恩赦により釈放されたが、一週間後再び刑務所へ収監される。
(注2)クルジュ:ハルク・クルジュ。1978年アンカラでのトルコ労働党員殺人の罪により死刑判決を受ける。その後恩赦による釈放、再収監、再釈放が繰り返され、2005年2月、再収監される。
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( 翻訳者:新井慧 )
( 記事ID:2341 )