テヘランの大気汚染は1日27人の犠牲者を出す ハムシャフリー紙
2006年06月11日付 Hamshahri 紙
【ISNA(イラン学生通信)】テヘラン大気汚染緩和包括計画執行官、ファトホッラ・オンミー氏は、人体には年間235グラムの浮遊粒子の自浄能力があるとして次のように述べた。「だが、既存の研究結果は、テヘランでは年間500グラムを超す直径10ミクロン以下の浮遊粒子(PM10)が人の肺に入り込んでいることを示している」。
同氏は、浮遊粒子が最も有害な汚染物質の一つであることを強調し、「これらの汚染物質は喘息、気管支炎、結核のような疾病及びその他の肺疾患、種々の卒中やガンの発病に大きく作用する」と付言した。同氏は、世界銀行が行った統計を挙げ、「これによれば、浮遊粒子による年間損失額はテヘランで平均6億ドル(約690億円)、国内7大都市で15億ドル(約1,725億円)にも上り、この数字は国内総生産の1.26%に相当する」と述べた。
同氏は続ける。「世界銀行の発表によると、昨年84年(西暦2005-06年)にテヘランで浮遊粒子に関係した疾病と健康被害から生じた損失額の概算は、病院滞在費100億リヤール(約1億2,800万円)、診療費920億リヤール(約11億8,800万円)、救急病院診療費1,300億リヤール(約16億6,100万円)、欠勤日数分損害額(家事労働を含む)1兆5,400億リヤール(約196億7,800万円)である」。
同氏は、「テヘランでは昨年、年間9,900人が2つの汚染物質、NOX(窒素酸化物)とPM10のために命を落としたため、1日平均27人がこの2つの大気汚染物質で死亡したことになる」と述べ、昨年テヘランでNOXとPM10に起因する死亡がもたらした経済損失額について、「昨年、汚染物質PM10は単独で6,200人の死者を出した。統計上の人命価値3億4,300万トマーン(約4,400万円)で換算すると、全員分の経済損失額は2兆1,270億トマーン(約2,717億8,600万円)になる」と述べた。
また、昨年テヘランで汚染物質NOXが原因で3,700人が死亡したことに触れ、「これによると、この死亡者全体の経済損失額は人命価値換算で1兆2,700億トマーン(約1,622億8,000万円)になる。全体で、両汚染物質によるテヘランの死亡者9,900人の経済損害額は、人命価値換算で3兆3,970億トマーン(約4,340億6,600万円)と言える」と述べた。
同氏は大気汚染罪について触れ、「大気汚染という緊急事態では、様々な規制や禁止を守らない者は裁判所の判決によって(汚染の量とその頻度に応じて)罰金5,000~100,000リヤール(約64~1,278円)の支払いを言い渡されるだろう。そして大気を汚染している状態を取り除くため、汚染源となっている輸送機関の交通が阻止されるだろう」と述べた。また、「汚染を生じさせている事業所の事業主は罰金500,000~1,000,000リヤール(約6,389~12,778円)、常習犯の場合は禁錮2~6月及び罰金700,000~2,000,000リヤール(約8,945~25,556円)を言い渡されるだろう。さらに、それらの事業所は裁判所の判決により、個人、法人、環境への損害賠償を払う必要がある」と説明した。
同氏は、環境への損害賠償については環境庁が原告として対処することを強調し、「もし不完全な、あるいは真実ではない情報や証拠を環境庁職員に提供した場合は、問題の内容と重要度に応じて罰金500,000~5,000,000リヤール(約6,389~63,890円)、常習犯の場合は禁錮1~3月及び罰金が言い渡されるだろう」。また、「もし環境庁職員でこの犯罪に協力したり事実と異なる報告をしたりする者がいれば、行政違反審査委員会で有罪となる他、厳罰を科されるだろう。また、ゴミ焼却事業主も、警告を受ける度に10,000~500,000リヤール(約128~6,389円)、常習犯の場合は、罰金300,000~2,000,000リヤール(約3,833~25,556円)を言い渡されるだろう」と述べた。
さらに、「粗大ゴミと家庭ゴミによる汚染責任者、加えて騒音公害を起こした者は罰金30,000~300,000リヤール(約383~3,833円)、常習犯の場合は100,000~1,000,000リヤール(約1,278~12,778円)を科されるだろう」と述べた。
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( 翻訳者:吉村 かすみ )
( 記事ID:2679 )