文化省、「神が不在の場所」と書かれた碑文の除去を指示(Radikal紙)
2006年06月13日付 Radikal 紙

ボドルム城塞水中考古学博物館には、500年前の地下牢の入り口に「神が不在の場所」という文言が展示されている。文化観光省はこの文言を削り落とすよう指示を出した。博物館の前館長オウズ・アルポゼン氏は、この行為は500年もの歴史を拭い去るようなことだと述べ、次のように続けた。「このような動きは、かつてここをイスラムの礼拝所にしようとした人々の策略にちがいない。」

当時、城塞の司令官であったビザンツ帝国軍司令官ジャック・ガティーノが1512年から1514年の間に作らせた地下牢は、聖ヨハネの騎士団によって長年、拷問部屋や牢屋として使われた。1523年に要塞がオスマン帝国の人々の手に渡ったことで地下牢は壁で閉鎖されたが、1992年になって発見された。地下牢は当時の文化大臣フィクリ・サーラル氏と博物館館長オウズ・アルポゼン氏の尽力で1994年に一般公開されるようになった。「神が不在の場所」の文字は、23段の階段をおりたガティーノ地下牢の入り口にある岩にラテン語で書かれていた。その文字の横には、英語とトルコ語の意味を示す看板がかけられた。


■文字は削り取るか、覆いで隠す

文化観光省文化財・博物館総局オルハン・ドゥズギュン氏によって2ヶ月前に送られた文書では、14年間地下牢の入り口に取り付けられていた看板の撤去が求められた。岩に刻まれたラテン文字についても、歴史的、考古学的価値がないということで削り落とすよう書かれていた。(これをうけて)英語とトルコ語の看板は取り除かれた。岩に彫られた「Inde deus abest」の文字については除去方法の検討が始められた。博物館館長ヤシャル・ユルドゥズ氏は、次のように述べた。「文化省から派遣された査察官ならびに考古学者たちは、この文字には歴史的・考古学的意義はなく史跡内においておく意味はないと明言し、文字の削除を求めてきました。我々は岩に刻まれた文字を削り取るか、または上に覆いをかぶせることを考えています。」


■前館長の反論

ボドルム博物館に40年勤務し、昨年退職した前博物館長で水中考古学者でもあるオウズ・アルポゼン氏は次のように反論した。「文化省はインターネットサイトで地下牢を『神が不在の場所』として14年にわたり世界へ発信してきましたし、依然としてサイトには残っています。もともと歴史的価値がないのであれば、なぜ何年間も人々をだますようなことをしたのでしょうか?これは特定の政治観をもった人たちの考え方です。昔、城塞内にあったキリスト教の礼拝所をイスラムの礼拝所に転用しムスリムに開放しようとした人々に賛同する思想が、歴史的証拠を容赦なく削除しようとしているのです。地下牢に書かれたその文字は完全にオリジナルであり、決して取り除かれてはなりません。もし文字が削除されるようなことになれば、歴史はそれを行った人々を決して許さないでしょう。」


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( 翻訳者:栗林 尚美 )
( 記事ID:2705 )