アンカラのEU事務総局の悩みは人材不足(Milliyet紙)
2006年06月19日付 Milliyet 紙
トルコにあるEU事務総局は、断水や人材不足等、さまざまな問題を解決するため政府の支援を待っている。EU事務総局は、1999年のヘルシンキ欧州理事会でトルコがEU加盟候補国に承認されてから設置された。つづく加盟交渉開始期日の決定過程では歴史的ミッションを果たし、2005年10月3日に始まった加盟交渉の調整においても中枢機関の筆頭にくる組織だ。
■翻訳部門設立の遅れ
2002年のコペンハーゲン欧州理事会、ならびに2004年12月17日の欧州理事会で、EU事務総局はトルコに良い結果をもたらすことに貢献した。8つの改革案を準備する際にも重要な役割をになった。さらに欧州基金との財政協働プログラムの実施、ならびに精査・交渉の過程においては複数の組織の調整を行い、協働の支援も行っている。事務総局が直面し長期間その解決を待っている問題は次のようなものだ。
●職員人事:事務総局の60人の職員では、日に日に増えてくる専門的な交渉と、財政協働プログラムの運営を行うことが難しくなっている。他の組織からの一時的な人員確保も、根本的な解決にはなっていない。事務局機能を完全に果たすためには250人から300人の組織となる必要がある。しかし事務総局は、定年退職者のポストへの新規採用を認める現行法と人事制度に則ると、1名の定年退職がでた場合、たった1.8名を新規採用する権利しかない。昇進していくような若手ベテラン職員もおらず、事務総局の職員はあまり多くの仕事をこなすことができない。
●法律と翻訳の部門:何千ページにもわたるEU法に関する交渉と文書のやりとりをトルコ語に翻訳するための翻訳部がまだ設立されていない。事務総局はトルコの法律をEU法に適合させるため積極的な役割を担う。そのため法律部門も必要とされている。
●コミュニケーション部門:事務総局ではさらに、EU・トルコ関係の重要な基礎のひとつとされている市民社会との対話のために、国内外の団体との協働を支援するコミュニケーション部を必要としている。
●物理的問題:EU事務総局の建物には建築許可が下りていないためいまだに水道がひかれていない。同様にいかなる建設活動の実施も法律で禁じられている。
EU事務総局の前事務総長で外務省出身のムラト・スンガル氏と、現事務総長のオウズ・デミルアルプ氏は、事務総局の体制整備を可能とする法案を政府に提出したが、今日まで必要としている支援を受けることができないでいる。
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( 翻訳者:山本裕一 )
( 記事ID:2766 )