ワールドカップと気温上昇で民間発電施設の料金が高騰(サバーフ・ジャディード紙)
2006年06月20日付 al-Sabah al-Jadid 紙

2006年06月20日付サバーフ・ジャディード紙(イラク)HP1面

■ワールドカップと気温上昇で民間発電施設の料金が高騰

【バグダード:アリー・ジャースィム】

 灯油リッターあたりの値段が上がり、供給量も減っていることに加え、停電が時には18時間にも及ぶほどに増していることが、民間発電施設の電力1アンペア辺りの値段上昇に影響している。このことは市民にはよく知られており、バクダードの多くの地区では民間発電施設の値段が上がり、稼働時間も縮小され、さらにはこれらの発電施設の持ち主たちが市民の求めを軽視している、といった不満の声が聞かれる。

 学年末試験の時期ということもあり、発電施設の持ち主達が政府系機関が供給する電力が不足していることに乗じて、一ヶ月の1アンペア使用料をこれまでの8000ディナールから値上げしたと、多くの市民が明言した。

 チュニス地区のある市民は、1アンペアのひと月分の料金は9000ディナールになり、供給されるのは午後2時から5時までと、夜の8時から11時、朝1時から5時までの一日10時間だが、これでもましなほうだと語った。(中略)

 一方、サドル・シティはバクダードでも最も民間発電に頼っている地域であるが、住民らは1アンペアの使用料が10000ディナールに跳ね上がったと訴えた。発電施設の持ち主たちが電力省の無策を利用し、特に今の時期はワールドカップが始まって気温も上昇していることから、住民は電力を得るためにこの金額を支払わざるを得ない。
 失業中のアリー・アブドゥルフセインは言う。「発電施設の持ち主は停電時間が長いことや、特にこの時期にはワールドカップを観るために市民が電力を必要としていることにつけこんでいるんだ。そのつけを払わされるのは自分たち市民、特に失業者さ。この地区の住民のほとんどが小さな家に住んでいるから、電気は絶対に必要なんだ」。
 食堂経営のガーニム・ハサンもこの意見を支持して、「アンペアの値段が上がったので、他の物資も値上がりした」と強調し、「発電施設がこのまま値上げを続けるのなら、契約を切るしかない」と語った

 それに対し発電施設の側は、今の状況では値上げは当たり前だとし、持ち主の一人であるウマル・イマードは、「電気料金の値上げは、政府が提供する電力が長時間途切れるために需要が増えているのに加え、灯油が100から125ディナールに値上がりしたためだ」と語った。
 石油省から民間発電施設への灯油供給に関し、情報筋が確認したところでは、石油省は今でも灯油スタンドから規定の値段で灯油をこれらの発電施設に供給しており、施設の場所や発電能力、契約者の人数などを実地に調べる委員会を通して、燃料供給を行っているという。

 このようにアンペア料金値上がりをめぐっては様々な意見があり、不平も噴出しているが、事は電力省とその技術力にかかっている。電力省が不可能に挑み、市民に電力を供給して、民間発電施設のお慈悲にすがらなくても済むようにできるかどうか。あらゆる民間事業がそうであるように、この新しい電気料金が下がることはありえない。値段はいつでも上がるものだ。需要と供給のルールにのっとり、十分量が保証される以外に、市民が一息つけるようなサービス料金の値下げが起きるなどということは、聞いたこともない。


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( 翻訳者:山本薫 )
( 記事ID:2780 )