プレイステーションのご褒美つき -夏休み中のコーラン講座(Milliyet紙)
2006年06月22日付 Milliyet 紙
学校が夏休みに入り、ご褒美つきのコーラン講座が帰ってきた。子ども達に携帯電話やプレイステーションのご褒美を約束したイマームの登場に、議論が巻き起こっている。
サムスンにあるカドゥキョイ・モスクの24歳のイマーム(※1)、ズルカルネイン・ゲレンが初めて実施したご褒美つきのコーラン講座は、学校が夏休みに入り再開した。
今年はレシャディエ・モスクのイマームである32歳のヴェダット・オズチュルクも、コーラン講座でよい成績を収めた子どもに対し、パソコンや自転車、テレビ、腕時計といったご褒美をあげることを、巨大な横断幕に記している。
■去年は3倍の受講者
昨年初めてカドゥキョイ・モスクがご褒美つきコーラン講座を始め、たいへんな注目を集めた。そして講座の参加者は3倍に増えた。今年同様のキャンペーンを始めたレシャディエ・モスクのイマーム、オズチュルクは、街中に巨大な横断幕を掲げた。昨日から始まった申し込みでは、モスクの前にぶら下がった “2006年夏のコーラン講座”と書かれた横断幕に次のようなご褒美の約束が記されている。
「活動
①遠足、②水泳、③サッカートーナメント、④卓球、⑤バレーボール、⑥朝のスポーツ、⑦ピクニック、⑧毎日5人の生徒にお菓子配布
ご褒美
①パソコン、②勉強机、③自転車、④テレビ、⑤VCD、⑥CDコンポ、⑦携帯電話、⑧腕時計、⑨カメラ、⑩サッカーボールとスパイクシューズ、⑪衣服、⑫文房具、⑬本、⑭靴、⑮制服、⑯ウォークマン、⑰チョコレート などなど。
レシャディエ・モスクのイマーム、ヴェダット・オズチュルク」
県のムフティー(※2)であるオスマン・シャーヒンは、夏のコーラン講座についてイマーム達に注意を促した。「ご褒美を与える場合には、モスク代表委員会が追跡調査を行う。子どもたちに対する我々の言葉や態度は、礼儀作法にかなっていなくてはならな
い。宣伝は極端にはしるべきではない。」
ボルのムフティー、アフメト・オクタンは、子ども達をご褒美で釣ってモスクに行かせるのは正しくないと意見し、「このようなやり方は、ご褒美がもらえなかった子ども達が宗教に不満を抱く原因になってしまう」と話した。
オクタンは7月の第1週にすべてのモスクに向けコーラン講座開始を呼びかけるとともに、華美なご褒美をつけるべきではないと警告している。宗教とは見返りを求めずに学ぶ必要があると述べたオクタンは、次のように話している。
「子ども達に自転車やコンピューターといった豪華なご褒美で釣ってモスクに引き入れようとすることは、子ども達の間に溝を作ることになる。コーラン講座の最後にご褒美をもらえなかった子どもは“僕だってコーランを勉強しに行ったのに、何ももらえなかった”と言って、もうコーラン講座に来なくなってしまう。」
※1 イマーム:アラビア語で「指導者」、「模範となるべきもの」を意味する語。通例は、イスラム教においてムスリム(イスラム教徒)の大小の宗教共同体を指導する統率者のことをイマームと呼ぶ。
※2 ムフティー:ファトワーというイスラム教(イスラーム)における勧告、布告、見解、裁断を発する権利があると認められたイスラム法学者。
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( 翻訳者:住永千裕 )
( 記事ID:2793 )