前提条件が課された交渉は無意味:ラーリージャーニー ハムシャフリー紙
2006年06月24日付 Hamshahri 紙

2006年6月24日付ハムシャフリー紙

【政治部】イラン大統領が〔核問題に対する5+1の包括提案の〕回答期日を〔8月下旬と〕表明したことに対し、西洋諸国はさまざまな反応を見せている。これらの反応は表面的レベルにとどまるものであり、さほど深く考えられたものであるようには思われない。というのも、反応の中身を吟味しても〔大統領の設定した期日に対して〕異を唱える理由となるものは見当たらないからだ。

 ジョージ・ブッシュ米大統領は「われわれはイランに対して数週間の猶予を与えたのであって、数ヶ月ではない」と述べており、ヨーロッパ諸国もブッシュ発言の後を追うかたちで、「2ヶ月という期間は長すぎる。イランは数週間以内に回答すべきだ」と述べている。しかし実際のところ、2ヶ月とは8週間のことであり、西洋諸国が主張する《数週間》とそれほど大きな違いはないのである。

 ラーリージャーニー国家安全保障最高評議会書記はガーディアン紙とのインタビューの中で、アメリカがイラン核問題に対して行っている《雰囲気作り》のさまざまな側面について指摘した。ラーリージャーニー書記は以前、西洋が包括提案を示し、交渉に乗り出したことを前向きに評価していたが、今回のインタビューで同書記は、アメリカのイランに対する敵意が増していると指摘し、イランに対してウラン濃縮活動を停止するよう求めるアメリカの言動全体を、「まるで説教しているようだ」と評した。

 同書記はまた、「前提条件が設定されていては、交渉は無意味だ」と強調した。同氏はさらに、「国連安保理でイランに対して何らかの敵意を示すならば、イランがIAEAとの協力を見直すといったような結果を招くだけだ」と警告した。

 ラーリージャーニー書記はこのインタビューの中で、イスラエル及びインドに対するアメリカのダブルスタンダードな核政策を厳しく批判し、さらに5+1包括提案は多くの曖昧な点を有していると再度述べた。この件に関し、同書記は近日中にもソラナEU理事会上級代表と会談する予定だ。

 その一方で、イランに対する禁輸措置を一年に一度見直すのではなく、10年間禁輸措置を続ける法案の成立をアメリカ議会が目指すなど、アメリカの敵対的行為は激しさを増している。ロイター通信は、米国務次官がこの動きに反発を示していると伝えている。ニコラス・バーンズ米国務次官はロイター通信に対し、「このような動きは、われわれがイラン核問題で実現にこぎ着けた合意を、われわれ自身の手で葬り去ることになる」と述べている。米国務省は、イランに対する10年間の禁輸措置を命ずる法案の阻止に向け、上院に活発なロビー活動を仕掛けている模様だ。

 他方、イラン外相はここ数日、ヨーロッパ外遊を続けており、広範な話し合いを行っている。モッタキー外相はローマでイタリア外相と会談した後、スイスへ向かい、さらに今日ドイツに行き、ベルリンでドイツ外相と会談することになっている。イタリアのマッシモ・ダレーマ外相は、「ベルルスコーニ政権はイタリアをイランとの交渉から遠ざけてきたが、現在の政権はもはやかつての消極的な立場を続けるつもりはない」と述べた。

 ジュネーヴでは、モッタキー外相はもっとも重要な会談として、国連事務総長との会談を実現した。アナン事務総長はモッタキー外相との会談を有用であったと評価し、同外相に対して「イランは早めに包括提案に回答すべきである」と再度促した。

 また、スイスでモッタキー外相は同国のミシュリン・カルミ=レ外相と会談した。モッタキー外相はジュネーヴで行った会談の中で、アメリカ大統領に向けて「ブッシュ大統領はことを急くことはできないし、すべきでない」と述べた。

 モッタキー外相がジュネーヴを訪問していた頃、ペンタゴンで会議が開かれ〔記者会見のことか?〕、その中でイラクヘのイランの干渉が指摘された。このことに関しモッタキー外相は、「イランはイラクの安定を願っており、安定したイラクの存在はイランの国益とも合致する」と述べた。

 ブッシュ大統領のヨーロッパ訪問に伴い、EUは声明を発表し、早めに包括提案に対する回答を示すようイランに要求した。これに対しモッタキー外相は、ことを急ぐべきではないと述べており、イラン側から表明された回答期日に変更はないものとみられる。

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:2809 )