小説の主人公にまで言論統制?「トルコ人蔑視」と訴え(Radikal紙)
2006年06月07日付 Radikal 紙

トルコ刑法301条が作家や新聞記者の頭を痛め続けている。小説『父と私生児』の著者エリフ・シャファクとメティス出版社社長セミフ・ショクメンは、作中人物の会話が原因でベイオール出版検察局の審問を受けた。

301条により裁判にかけられた作家オルハン・パムクや新聞記者との諸審理で緊張を生み出し話題になったケマル・ケリンチシズ弁護士は、今度は『父と私生児』でトルコ人を侮蔑したとの理由から、著者エリフ・シャファクとメティス出版社出版責任者セミフ・ショクメンについて検察局へ告発状を提出した。

ケリンチシズ弁護士はゼイティンブルヌ市共和国検察局へ提出した告発状のなかで、作中にある「私は1915年に残虐なトルコ人の手で滅ぼされた家系の血を引くものである。私は祖先を裏切ることを学んだし、同族の虐殺を否定する教育を受けた」など、民族虐殺の存在を肯定する作中のアルメニア人の語る言葉を著者の意図に反して引用した。
ベイオール市出版検察局は昨日の事前審問でエリフ・シャファクとセミフ・ショクメンの主張を聞いた。

■シャファク:その話とは正反対のことを言っている人物も登場する
『父と私生児』でトルコ人を侮蔑したとの主張を否定するシャファックは、以下のような弁明を行い、不起訴処分を要求した。「小説の特定の箇所を取り上げて、全体を無視し、いくつかの文章を解釈してなされた告発が法的に適切でないことを確信している。小説に出てくる話は全て空想の産物だ。作中人物からわずかの会話を取り出すことは、作品の全体に誤った解釈を与えることになる。同じように、作品中には、取り沙汰されたこの手の会話と正反対のことを言っている人物だって登場する。ある小説に殺人者、人殺しが描かれるということは、著者も殺人者であり、殺人を正当化しているという意味をもたらしはしない。」



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( 翻訳者:塚田真裕 )
( 記事ID:2648 )