アラブ・ジャーナリスト連盟が域内の報道の状況に関する初のレポートを発表(アル・アハラーム紙)
2006年06月04日付 Al-Ahram 紙
■ アラブ・ジャーナリスト連盟、域内の報道状況に関する初のレポートを発表
■ 報道の自由を観測するネットワークの設立と、諸外国のレポートへの依存からの脱却を呼びかけ
2006年06年04日付アル・アハラーム紙(エジプト)HPアラブ世界面
【ファールーク・アブドゥルマギード】
昨日、アラブ・ジャーナリスト連盟はイブラヒーム・ナーフィウ会長を主筆とするアラブの報道状況に関するレポートを発表した。これは誇張が多く、科学的な根拠に乏しい国際的あるいは諸外国によるこれまでのレポートに代わる、アラブ側から出された初めてのレポートである。
連盟は昨日、報道の自由についてのセッションを開催し、レポートの発表を行った。その席でナーフィウ会長は、「これはアラブにおける報道の自由についてのアラブによる初のレポートであり、今後より明快で包括的なレポートを発表していく道のりの第一歩とみなされる」と指摘し、アラブ諸国における報道の自由を観測する役割を担う連盟直轄のセンターがモロッコに設立されたとも語った。
連盟のメンバーである18のアラブ諸国が参加したこのレポートによれば、アラブ世界で発行されている新聞の数は、朝刊、夕刊、週刊をあわせて2674紙、ジャーナリストの数は28,000人にのぼる。昨年中に死亡した記者の数は世界中で73人なのに対し、アラブ人記者は25人、そのうち22人がイラク人記者だった。イラクは数多くの新聞が発行されてはいるものの、もっとも報道の自由が侵害されている国である。
アラブ・ジャーナリスト連盟の事務局長をつとめるサラーフッディーン・ハーフィズ氏は、「アラブ諸国の政府は意見と表現の自由への対応において厳しさを増しており、強い圧力を加えている。アラブにおける報道の将来は危険にさらされており、報道への侵害は継続的かつ直接的になってきている。それどころか記者の殺害、逮捕、執筆禁止、新聞の没収といった手段によって記者生命を終わらせるまでにいたっている」と指摘し、アラブ世界における報道の自由度を観測するためのネットワークを完成させることの重要性、また報道の自由についてのレポート作成において組合に偏重せず、報道界全体をカバーすることの重要性を強調した。
連盟内のサイフ・シャリーフ氏を委員長とする「報道の自由委員会」が作成したこのレポートによれば、報道の自由度について国際的に認められている指標の多くがほとんどのアラブ諸国において侵害されていることや、アラブ世界における報道の自由の程度は他の一般的な自由の程度の延長線上にあること、アラブ世界における報道の自由度の詳細な実像を描くためには明確な基準に依拠し、この分野で広く認められた指標にもとづく観測が求められることなどを、アラブ世界の報道の自由に関する様々なレポートが指摘しているという。
さらにレポートはアラブ諸国のジャーナリスト組合は報道の自由の状況を監視し、あらゆる方面に対して十分な証拠をつきつけるような指標を提供する義務があること、また報道に関する法律には各国間で形式上の相違があるが、アラブの報道の発展にとって障害となるようなあらゆる法律の文言について検討し、熟考し、見直す必要があることも指摘した。またレポートは、報道の自由度を示す指標は、殺害・逮捕・誘拐・拷問・裁判・脅迫・解雇・職務遂行の禁止などに集約される、と強調した。
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( 翻訳者:南・西アジア地域言語論(アラブ・メディア翻訳) )
( 記事ID:2652 )