イスラエルがベイルート空港を空爆、陸・海・空からレバノンを包囲(アル・アハラーム紙)
2006年07月14日付 Al-Ahram 紙

■ イスラエル、陸・海・空からレバノンを包囲
■ イスラエルの戦闘機がベイルート空港とレバノン南部を爆撃
■ ヒズブッラーはミサイル砲60発をイスラエル北部に向けて発射
■ 数十人のレバノン人が殺され、ヒズブッラーはハイファを攻撃すると脅し

2006年07月14日付アル・アハラーム紙(エジプト)アラブ世界面

【ベイルート:ファトヒー・マフムード、占領下エルサレム:諸通信社】

 この24年で最大となる一連の空襲によって、将兵1人と一家族の11人を含む39人のレバノン人が殉死した。空襲は市内の複数の地域と南部のヒズブッラーの拠点を狙ったもので、さらにベイルート国際空港が空爆されて滑走路が破壊、ヒズブッラーが所有するマナール・テレビの放送局も破壊された。

 そのころヒズブッラーは、ベイルートとその郊外をイスラエルが標的にした場合には、ハイファとその郊外を砲撃すると威嚇していた。また、ヒズブッラーは長距離ロケット砲を空軍指令本部に向けて発射、ナハリヤへの砲撃では女性1人が死亡、6人が負傷し、さらにキルヤト・シェモナとロシュピナの空港も標的にした。

 イスラエル筋の情報によれば、イスラエル軍はレバノン政府に対し、ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー党首がいるとされているベイルート南郊から住民を退避させるよう要請した。

 イスラエル軍のラジオ放送はレバノン内のほかの空港も今後標的になると報じ、またイスラエル軍の報道官は、レバノンの港湾がレバノン国内で活動するテロ組織に人員や武器を供給するために使われているとして、イスラエル海軍の船舶が昨日朝よりレバノンの海上を完全に封鎖していると語った。

 同放送はまた参謀本部高官筋の発言として、イスラエルは一昨日にヒズブッラーによって拉致された兵士2名を取り戻すための作戦の一環としてレバノンを陸・海・空から包囲すると報じた。またある高位のイスラエル将校は、イスラエルはベイルート国際空港を狙ったあと、他の空港も空爆するだろうと述べた。同放送が明らかにしたところでは、イスラエルの戦闘機は一昨日以来、ヒズブッラーが長距離ロケット砲を保管している民家を特に狙った空爆を数十回にわたり行ったという。

 ベイルート空港が攻撃される前の未明には、南レバノンの村々が標的にされ、15人以上の子どもを含む民間人44人が死亡、100人が負傷した。これらの死者にはドゥウェイル村の一家族10人と、他の村の家族7人が含まれる。さらにレバノン軍の兵士1人も殺された。

 イスラエル占領軍はまた、昨日抵抗勢力の砲撃によって死亡したイスラエル戦車部隊の隊員4人を収容するため、南レバノンのエイタ・シャアブを爆撃によって孤立させる作戦を行った。
これに対しヒズブッラー筋は、レバノン領内への侵入作戦を試みたイスラエル軍を抵抗勢力が阻止し、退却させたと指摘した。

 またイスラエルの戦闘機は攻撃開始以来初めてレバノン東部も空爆し、レバノン東部におけるヒズボッラーの拠点のひとつであるバアルベク近郊の荒野に位置するシーア派モスクを破壊した。同筋によれば、イスラエルの砲弾は全てバアルベクの西約12キロに位置するこのモスクに着弾したが、無人だったために1人の犠牲者も出なかったという。

 また戦闘機はベイルート南郊のハーラトゥ・フライク地区にあるヒズブッラー所有のマナール・テレビ局も空爆しテレビアンテナが破損、周囲の建物にも被害が及び、6人の負傷者が出た。

 同様にイスラエルの攻撃はベイルート国際空港(別称、殉教者ラフィーク・ハリーリー空港)をも標的とし、6発のロケット砲によって滑走路と連絡通路を破壊、飛行機の運航は停止され、航空機はキプロス空港へ移動した。旅客の安全確保のため空の便は運行を取りやめ、航空機に対しては近隣の諸空港、特にキプロスのラルナカ空港への回避を要請した。

 このベイルート空港への空爆直後には、レバノンの抵抗勢力がイスラエル北部のキルヤト・シェモナ空港の滑走路を砲撃、同じくイスラエル北部のナハリヤにおよそ60発のミサイル砲を発射、レバノン市民とその家屋に対するイスラエルによる攻撃への報復とした。

 さらにヒズブッラーは、「雷鳴」という長距離ミサイル砲をイスラエル北部の空軍基地に向けて発射したと発表、初めてこの型のミサイル砲が導入されたことで抵抗運動は質的に向上したと語った。(後略)



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( 翻訳者:山本薫 )
( 記事ID:2980 )