テヘラン州治安維持軍長官とのインタビュー シャルグ紙
2006年07月15日付 Sharq 紙
2006年7月15日付シャルグ紙27面
テヘラン州警察長官とのインタビューが、キャラジ市エスターンダールド広場にあるテヘラン州治安維持軍司令本部にて行われた。ザーレイー長官は軍服に身を包み、長官室の執務机の向こう側に腰を下ろしていた。長官はいつものように、控えめな笑みをたたえていた。
長官の机の上には、各紙新聞が置いてあった。レザー・ザーレイー長官は毎朝、まず最初に新聞記事のチェックから執務を始めるのを常としている。ザーレイー長官がテヘラン州治安維持軍長官の任に就いたのは、2年前のことだ。同長官はそれ以前には、ギーラーン州やハメダーン州、及びブーシェフルの治安維持軍の司令官を歴任している。テヘラン州治安維持軍司令官は、本紙シャルグとの単独インタビューの中で、犯罪の状況やテヘラン州の問題と対策などについて説明した。
(問)まず最初に、テヘラン州の治安状況をどのように評価するか?
(答)テヘラン州は人口も多く、外国人も多数居住している。その点を考えれば、テヘラン州の治安が完璧に確立されているとは言えないかもしれない。しかし幸いなことに、昨年に比べ、テヘラン州の犯罪件数は減少している。人気のない場所にも警察官が配置するなど、テヘラン州の治安確立のために、われわれはかなりな程度努力してきた。
(問)テヘラン州の犯罪件数は、統計的にどれほどか?
(答)過去3ヶ月間、テヘラン州では3611件の犯罪が発生している。そのうち3155件の犯罪の検挙に、警察は成功しており、この数値は注目に値するものである。また、前の3ヶ月間に比べ、住居窃盗が21%、店舗窃盗が15%、バイク盗難が4%、スリが30%、ひったくりが15%、殺人が4%、誘拐が44%、詐欺が34%、武器不法所持24%、テヘラン州では減少している。
(問)どのような種類の犯罪が増加したのか?
(答)残念ながら、文書偽造が1%、自動車盗難が5%増加した。
(問)暴行事件はどうか?
(答)過去3ヶ月間で8296件の個人的な暴行事件が発生し、98件の集団的暴行事件が、テヘラン州で発生した。これは数カ月前に比べ、約20%の減少であった。
(問)ここ数ヶ月間でどれくらいの量の麻薬がテヘラン州で発見されているか?
(答)過去3ヶ月間で、1450キログラム以上の麻薬がテヘラン州で発見・押収されている。この押収量は昨年に比べ、80%の増加であった。内訳は、ヘロイン141キログラム、大麻13キログラム、アヘン1165キログラム、モルヒネ116キログラム、コカイン1キログラム、その他若干の向精神薬(エクスタシー)となっている。残念ながら、エクスタシーと外見が似ている「ベレンジ(米)」が市場に出回っているとの報告を受けている。残念ながら、これまで5名の学生が「ベレンジ」を口にしたために命を落としている。
〔中略〕
(問)テヘラン州警察署長として、管轄地域における犯罪発生の原因はどのようなものだと考えるか?
(答)テヘラン州内の都市人口がますます増加するなど、テヘラン州には異常なほど人口が集中しているという問題がある。また、統一性のとれていない行政、目で見て分かるほどの階級格差の存在、日々増加傾向にある移住民、50万人以上もの外国人の存在、テヘラン—キャラジ間での18万台以上の車両の往復なども要因として挙げられる。さらに、シャフリヤール地区の庭園やパークダシュトやヴァラーミーン周辺の沙漠地帯も、多くの犯罪者の中継地点となっており、そこで多くの量の麻薬が取引されていることも指摘できる。それよりももっと重要なのは、キャラジとヴァラーミーンには国内最大級の刑務所があること、そしてフォユージ家のような犯罪一家が住み着いていることだ。このような犯罪一家は2〜3千ほどあり、彼らは国際的にみてももっとも職業化された犯罪者たちである。彼らの存在が、犯罪が繰り返し行われ、あるいは増加する重要な要因となっている。これらはいずれも、管轄地域における治安にとって問題を惹起しており、警察を初めとする関係機関によって努力は尽くされているものの、問題の解決と状況の改善のためにはさらなる真剣な決意と意志が必要とされている。このようにテヘラン州には、犯罪の温床となるものが存在しているのだ。
〔中略〕
(問)「社会治安改善計画」におけるテヘラン州警察のこれまでの実績如何?
(答)過去2ヶ月間で、喫茶店やネット・カフェ、レンタル・ビデオ屋、その他〔水煙草などを置いてある〕食堂など250軒の店舗が取り締まりの対象となり、アルコール飲料4万本、衛星放送受信機2230機、猥褻ビデオCD8千枚が押収されている。また、50名の街娼、75名の家出少年・少女の他、路上迷惑行為や不良行為、女性の服装の乱れ、アルコール飲料の販売などの罪で1万人が逮捕されている。さらにこの計画の実行過程では、人々の迷惑の元となったり、異常な音を発するような違法車両も8千台、差し押さえられている。
(問)少し前に「貞節」計画が提出されていたが、この計画はいかなるものか?
(答)「貞節」計画とは、女性の服装の乱れを取り締まることを目的としたものである。すでに女性警官らが女性の服装を取り締まったり、不適切な服装の女性に対して注意を与えたりといった活動を開始している。この計画の高邁なる目的を達成し、価値ある道を進むためには、望ましい結果を手に入れるべく全ての機関が全面的に協力し合って活動することが必要だ。確かに警察は自らに課せられた義務を遂行するために必要な権限を有しているため、これまである程度の成功を収めることができたことも事実である。しかし、社会的に極めて重要な領域に関わる「貞節」計画を確実なものとすることは、警察の力だけでは明らかに不可能である。疑う余地のないことだが、現実の社会問題は人々の協力と文化的、社会的、経済的な環境作り、さらには若者たちの要求にきちんと目を向け、義務の遂行に当たってはきめ細かい注意を怠らないという努力によって初めて可能なのである。
〔中略〕
(問)アフガン人たちを国外追放するための計画はどうなったのか?
(答)先ず申し上げたいのは、テヘラン州の尽力により、少し前にすでに30万人の不法滞在の外国人を国外退去にしており、良好な結果が得られているということだ。もちろん、一度にこれらの外国人を退去させることは困難だ。しかし、もし関係機関がきちんと協力するならば、今年終わりまでに不法にイランに滞在している外国人を退去させることも可能だろう。なお、現在テヘラン州には、いまだ約20万人の不法滞在の外国人が居住している。
〔後略〕
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http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/newsdata/News2006628_2841.html
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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:3016 )