社説:中東を待ち受けるさらなる動乱(アル・アハラーム紙)
2006年07月16日付 Al-Ahram 紙

■ さらに大きな動乱が中東を待ち受けている

2006年07月16日付アル・アハラーム紙(エジプト)HP社説

 レバノンとガザ地区におけるイスラエルの軍事作戦はたしかに重大ではあるが、それ以上の重大事は作戦終了後に待ち受けている事態である。今の軍事作戦が終了され次第、レバノンとパレスチナの政治諸勢力は、多くの言説や立場、同盟関係や国内政治関係についての見直しを始めることになる。その場合、レバノンにおいてもパレスチナにおいても、以下に例をあげるような多くの問いが投げかけられることだろう。
 
 例えば、「ヒズブッラーとその武器は、レバノンの国家安全保障の一構成要素たりえているのか?」「ヒズブッラーはレバノン国軍に編入されるべきなのか? だとすれば、それはどのようになされるのか?」
 あるいはまた、「どうすればヒズブッラーを政治の場に取り込むことが出来るか?」「対イスラエル闘争部門の掲げる政策とはいったいどのようなものなのか?」

 こうした問いがレバノンのあらゆる政治勢力の間できわめて活発に交わされるようになるだろう。これらの問題をめぐってレバノンの各勢力間で激しい意見の相違がおこることはまず間違いない。そしてその相違は、イスラエルの軍事作戦終了後、ヒズブッラー対大多数の政治勢力という二極構造を顕在化させることになると予想される。

 これと同じ状況はパレスチナにもあてはまる。容易にハマースをレバノンにおけるヒズブッラーに置きかえて、先程と同様の問いを投げかけることができるだろう。

 レバノンでもパレスチナでも、こうした問題について国民的な合意を築くことに政治勢力が失敗した場合には、政治的な二極化が内戦状態へと移行しかねない。そうなれば、外部からの脅威に対する国内情勢の脆弱さは、さらに深刻なものとなる。
 
 またそれ以上に重要なのは、ガザとレバノンで行われているイスラエルの軍事作戦が、限定的な作戦に対抗するために広範囲な軍事的報復に出るという、新たな政策の確立につながってしまう点にある。それはつまり、レバノンとパレスチナにおける国内の不安定な情勢と、予期される政治的二極化という状況のもと、今後さらに頻繁に同様の軍事作戦が繰り返される可能性があることを意味する。



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( 翻訳者:南・西アジア地域言語論(アラブメディア翻訳) )
( 記事ID:3034 )