ローマでレバノン情勢に関する国際会議きょう開催(アル・ナハール紙)
2006年07月26日付 Al-Nahar 紙
■ サウジがレバノンに10億ドル送金、5億ドル無償援助
■ ローマ会議で国際部隊について協議 セニョーラ首相、ターイフ合意の履行を要請
■ ビント・ジュバイルで戦闘 ナスルッラー書記長、「ハイファよりも領内深くを攻撃する」と警告
2006年07月26日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面
世界各国およびアラブ諸国の代表が今日ローマに集まりレバノン情勢について協議を行うが、この24時間の現場における事態の展開は、政治的な動きを上回る激しいものであった。ローマにおける国際会議の開催を数時間後にひかえて、レバノン南部の前線においてはビント・ジュバイル市をめぐって激戦が展開された。ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長は昨深夜1時に談話を発表し、イスラエルがビント・ジュバイルを制圧したと発表した後も戦闘は続いていると述べた。いっぽう国連の報道官はイスラエル軍が「ビント・ジュバイル市内に入った」と語った。
ナスルッラー師はハイファに対する攻撃の段階から「ハイファの先を攻撃する」段階に移行することを約束し、「事態の展開によっては、ハイファの先の先まで攻撃する」と述べた。
■ ローマ会議
レバノン情勢に関する国際会議が今日の朝9時に開始される予定のローマでは昨夜、レバノンのフアード・アル=セニョーラ首相がアメリカのコンドリーザ・ライス国務長官と会談を行い、国連のコフィ・アナン事務総長と欧州連合のハビエル・ソラナ共通外交・安全保障政策担当上級代表が同席した。
この会談においてはレバノンが要請している停戦について話し合われたが、アメリカ側はレバノン・イスラエル国境地帯に展開する国際部隊編成の準備を含めた周到な解決策をあくまで主張しているという。
本紙の得た情報によればこの派遣部隊の問題については様々な見解の相違が見られ、国際部隊、国連部隊、あるいは多国籍部隊といった案が挙げられている。
セニョーラ首相は国際会議においてスピーチを行うことになっており、レバノンの苦難について訴え、停戦を求めるとともに、先の閣僚会議において承認されたレバノン国家としての前提事項に基づいた解決策に関するレバノンとしての見解を提示する予定である。また、抵抗運動とレバノン全土にわたる国家支配の確立についてはターイフ合意に則るべきことも主張すると思われる。
セニョーラ首相の率いる代表団は昨日昼に国連所有のヘリコプター2機に乗ってベイルートを出発しラルナカに向かった。メンバーはイリヤース・アル=ムッル副首相兼国防相、マルワーン・ハマーダ通信相、ミシェル・ファルウーン議会担当国務相、ターリク・ミトリー文化相、ファウズィー・サッルーフ外相、ジハード・アズウール財務相。
セニョーラ首相は今日、バチカン市国の国務省長官であるアンジェロ・ソダーノ枢機卿と会談を行う予定である。
(中略)
■ ビッリー国会議長
ナビーフ・ビッリー国会議長が昨日「アル=アラビーヤ」TVのインタビューに答えて語った内容は、レバノン当局とアメリカの間にある見解の相違を物語るものであった。ビッリー議長は「ライス長官にとってのパッケージ案というのはすなわちリタニ川以北における停戦、安全保障地帯におけるレバノン国軍展開、国連軍の任務の1ヶ月ないし2ヶ月延長、数ヶ国から構成されるUNIFIL以外の国際部隊の設置、南部における再建の開始、しかる後に住民が帰還する、というものだ」と述べ、「パッケージ案に沿って進むということはつまり、殺人行為がつづくということだ。(...)レバノンでこのような案を実行することは、国内紛争を生み出すことによって以外は不可能だ」と語った。
(中略)
■ サウジアラビア
ローマでの国際会議を前にサウジアラビア王国は「10億米ドルをレバノン中央銀行の予備資金の強化のため送金する。(...)またレバノン復興アラブ基金設置の核として5億ドルを充てる」と発表した。これについてはセニョーラ首相も記者会見で言明し、アブドゥッラー・ビン・アブドゥルアズィーズ国王に謝意を表明した。ビッリー国会議長も同国王に電報を送り、このイニシアチヴに対して謝意を表明した。
■ ナスルッラー書記長
いっぽうヒズブッラーのナスルッラー書記長は昨日の深夜1時に同党所有のマナールTVで談話を発表し、戦争が始まってから2週間で「数多くの情報が得られ、事態ははるかに明瞭になった」と述べ、アメリカのライス国務長官がイスラエルで「新しい中東」について語ったことに言及し、この計画の目的は「パレスチナ問題とレバノンにおける抵抗運動、そしてシリアとイランを粛清すること」にあると述べた。
ナスルッラー書記長は、イスラエルが現在レバノンに対して行っている戦争は9月末あるいは10月初めに行われる予定だったが、ヒズブッラーがイスラエル軍兵士2人を捕虜にした作戦のために「最も危険で最悪の戦争のシナリオは失敗に終わった。(...)そこにはおそらく神の御配慮があったのだろう」と述べた。また、現在起きている戦争は1982年のレバノン侵攻とそれにつづく5月17日合意よりも「悪い」事態であり、その目的はレバノンを「表向きはレバノンの姿を借りつつ実はアメリカ的でシオニスト」の存在に変貌させることだと述べ、「我らの国と民と抵抗運動を辱めるようないかなる条件も」受け入れることを拒否した。
またナスルッラー書記長は「我々は今後の運命を決する1週間ないし10日間を目の前にしており、いよいよ不屈の精神をもって、断固として団結し忍耐する必要がある」と述べ、対決を続行することを誓い、「我々の攻撃はハイファにとどまらない。ハイファの先を攻撃する段階に移行する。そして事態の展開によっては、我々は時を選んでハイファの先の先にまで到るだろう」と述べた。
またナスルッラー書記長は「我々はビント・ジュバイルで対決している。マールーン・ラアスで戦ったようにビント・ジュバイルでも戦う。我々はゲリラ戦術をもって戦っている。重要なのは敵に被害を与えることだ。いかに地上侵攻が行われようとも、パレスチナ占領地北部[※訳注:イスラエル北部]の入植地に対する攻撃を阻止することはできない」と述べた。
また、いかなる代償を払おうとも「敵の占領するあらゆる土地」を奪還することを約束し、「このメッセージを録音している時点では、敵はビント・ジュバイルを制圧してはいない」と述べた。
(後略)
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( 翻訳者:森晋太郎 )
( 記事ID:3099 )