アラブ連盟のムーサー事務局長:「紛争の根本的解決無しに“新しい中東”などありえない」
2006年07月26日付 Al-Ahram 紙

■ アラブ議員連盟の緊急会合でムーサー事務局長:「紛争の根本的解決無しに“新しい中東”はありえない」
■ 「アラブの姿勢は弱腰だ」
■ スルール議長:「イスラエル兵を捕虜に取ることは合法だ…西洋諸国は事態を黙認している」

2006年07月26日付アル・アハラーム紙(エジプト)HP1面

【マスウード・ヘンナーウィ、サミール・サイイド】

 アラブ議員連盟は昨日、アラブ連盟本部で緊急会合を開いた。ヨルダン国会議長のアブドゥルハーディー・マジャーリーが議長を務め、アラブ連盟のアムル・ムーサー事務局長とエジプト人民議会のアフマド・ファトヒー・スルール議長も出席する中、アラブ諸国の議会リーダーたちの参加により、レバノンとパレスチナに対して続けられているイスラエルの暴虐な攻撃について討議が行われた。

 アラブ連盟のアムル・ムーサー事務局長は演説の中で、いかなる紛争についても停戦の呼びかけを出してきた国連安保理が、その60年の歴史において初めてそうしなかったことへの驚きと遺憾の意を表明し、「安保理は中東地域にある特定の状況が具体化されるまで、意図的に傍観を決め込んでいるのだ。レバノンではイスラエルを利するような特定の結果が生じつつある」と述べ、この攻撃に対する国際社会の沈黙は地域の緊張緩和をもたらさないと強調しつつ、「ネガティブな状況の上に何を打ち立てたところでネガティブなままだ」と語った。

 さらにムーサー事務局長は、「“新しい中東”なる言説は、これまでにも別の表現で呼ばれたことのある古くて新しい壮大な言説だが、中東問題の根本的な解決なしには“新しい中東”などありえない。最近の緊急アラブ外相会談で中東和平プロセスは失敗したとの宣言がなされた現状ではなおさらだ。この宣言はアラブ諸国の総意だ」とも語った。

 ムーサー事務局長はアラブの公式な立場を弱腰で分裂していると評し、「それどころかアラブ諸国の動きには大きな混乱が見られる。アラブの立場を統一し、センシティブで重大な事態に対抗する一つの有効な立場を打ち出すことが必要だ。それがアラブ-イスラエル紛争を公正でバランスの取れた解決に導くための戦略的な利益となる。そこにしかアラブの利益はない」と述べた。

 一方、エジプト人民議会のアフマド・ファトヒー・スルール議長は、西洋諸国と国連安保理は一体となって、友邦であるレバノンを焦土とし、抵抗運動を壊滅させるために、イスラエルの行動を黙認していると述べ、今日の世界は集団的安全保障という概念のあきらかな崩壊に直面していると指摘した。

 また議長は「イスラエルの報道機関は国際社会の盲目的な偏向報道に支えられ、イスラエル兵の拉致は非合法だと語ることで事実をかく乱し、歪めて伝えている」と述べ、武装した兵士は拉致されたとは言わず、捕虜に取られた、というべきであって、捕虜については国際法で特別な取り決めがあるというのに、戦争捕虜の取り扱いについて1949年に定められたジュネーブ条約に従った行動を呼びかけるかわりに、事実を歪め、国際的な取り決めを排除する声ばかりがあちらこちらから上がっている、と指摘した。(後略)


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( 翻訳者:山本薫 )
( 記事ID:3100 )