250万挺の銃がイランの野生生物を狙う:密猟者50万人と戦う環境保護官3000人 ハムシャフリー紙
2006年07月02日付 Hamshahri 紙
【都市部:アサドッラ・アフラーキー】国土のうち1300万ヘクタールが生態環境保護地域であるが、世界標準に照らせばこの面積は1700万ヘクタールまで拡大されねばならない。このような広大な地域を保護するには1,1000人の保護官が必要だ。
大学教授のエスマーイール・キャフロム氏はハムシャフリーとの談話で次のように付け加えた。「世界基準によれば各国とも国土の11パーセントを保護下におかねばならない。しかし我が国ではこの面積は7.5パーセントだ。発表されたパキスタンの保護地域面積はまさに世界基準通りだ。パキスタン人曰く、この数字はたんに証書に記載された数字でしかないのだが、このアプローチで、将来これらの地域を保護するとき、法的問題に直面しないだろう。少なくともこうしておくことの利点は、もし我が国でも証書に基づいて保護地域面積を明示しておけば、将来これらの地域を保護するのに必要な機会と設備が整った時、法的障害に直面せずにすむ点だ」。
同氏は、環境保護官が福利厚生と生計の面で困難な状態におかれていることを批判して述べた。「現在、全国で3000人の環境保護官が最低限の装備で活動しており、広大な地域を保護するのにランドローバー2台しか割り当てられておらず、うち1台はいつも修理工場にある」。
同氏によれば、一地域の保護に使われる全装備がバイク2台とくたびれた猟場監視員数名だけのときもあるという。猟場監視員は、家族と離れ、最低限の装備しかない過酷な条件で任務を果たしている。福利厚生は考慮されず、適切な給料と手当ももらえない。このようになおざりにされているにもかかわらず、彼らは誠実に任務を果たしている。
たとえば、鷹狩り用の鷹が渡る季節、ブーシェフル州では、環境保護官が自らの命を顧みることなく密猟者を追跡し、彼らから5、6羽の鷹を取り返し、時には彼らを裁判所に引き渡すのが幾度も目撃されてきた。どん欲な人々によって1羽20,000ドルでペルシャ湾の首長国に売りさばかれる鷹である。それに比べ、5、6羽の鷹を取り返した環境保護官の給料は120,000トマーン(約15,300円)以下である。にもかかわらず、この誠実で勤勉な人々は何の賞与も考慮されないばかりか、時に、犯罪者を裁判所に引渡す際にトラブルに巻き込まれるケースもある。
同氏は、ギーラーンの環境保護官、モオメニー氏の証言に触れ、「52年(西暦1973-74年)からこれまで90人以上の環境保護官が殉死している。責任者らがしばらく前から彼らを殉教者に認定してもらうよう働きかけを行っているが、この努力はまだ報われていない。中には特異な状況にあったという理由で殉教者として認められた人もいて、その遺族は他の遺族に比べ多くの福利厚生を享受している。しかしこれだけでは十分ではないし、責任者がこの分野でさらに熱意を見せることが期待される」と述べた。
同氏は言う。「法律によれば一定の過酷な職業に就いている者は勤続25年で退職することができるが、環境保護官にはこの特権が適用されない。環境保護官というものは、朝ライフル銃を背負って自分の持ち場の保護区に出かけたきり、時には遺体で発見されることもあるというのに」。
▼ 生息地の破壊は悲惨なもの
キャフロム氏は生息地の破壊が進んでいることを厳しく非難した。「一方で生息地の破壊、他方で密猟が原因で、国の生物の様々な種が激減している。中には絶滅の危機にさらされている種もある。我が国で起こり続けていること、これは隠すことのできない現実だ。我々は第一に建造物を建てたり道路を敷いたりすることで野生生物の生息地を破壊している。第二に銃や罠や毒薬で生き物を苦しめている」。
キャフロム氏は言う。「統計によれば、民間に普及しているライフル銃は250万挺で、そのうち50万挺が許可を受けていないものだ。当然、この中には密猟者がおり、何の信条にも囚われずに節操なく猟をする。許可された猟銃を持った許可された猟師なら、許可された猟期に許可された猟場で、許可された鳥獣を制限数内で狩るだろう。こうしたやり方は生物種を滅亡させないばかりか環境保護にも役立つ。しかし残念ながら、我が国で起こり続けていることは、これに反している。近い将来、希少種の絶滅が予測されているその一途をたどっている」。
現地の新聞はこちらから
( 翻訳者:吉村 かすみ )
( 記事ID:2879 )