ムバーラク大統領、サウジ国王と会談へ。出発前の会見でヒズブッラーの作戦を批判(アル・アハラーム紙)
2006年07月26日付 Al-Ahram 紙

■ エジプト・サウジ首脳会談、レバノン停戦のための共通見解を協議
■ ムバーラク大統領:「この地域で起こっている事は破壊のカオスであり、創造ではない。危機からの出口を協議する必要がある」
■ ムバーラク大統領、サウジ訪問前に新聞記者らに対し:「(兵士拉致という)作戦にはまともな見通しがなかった。代償を支払っているのはレバノン国民だ」

2006年07月26日付アル・アハラーム紙(エジプト)HP1面

【ジッダ:ハサン・アーシュール、ジャミール・アフィーフィー、リヤード:サーリフ・ハイリー】

ムバーラク大統領は昨日、サウジアラビアを短時間訪問し、アブドゥッラー・ブン・アブドゥルアジーズ国王との首脳会談をマッカ近くのバーハにおいて行った。
同会談では悪化するレバノン情勢と、三週目に突入したイスラエルとヒズブッラーとの戦争の停止について協議した。

エジプト、サウジ両首脳はレバノンにおける即時停戦についての考えを話し合い、意見の一致をみた。またレバノン政府が領内全域に統治権を広げられるよう、レバノン政府支援策を協議した。

 ムバーラク大統領とアブドゥルアジーズ国王は、今年に入ってからすでに3回のトップ会談を行い、前回の会談からはまだ一月も経ていない。今回の短期訪問にムバーラク大統領はアナス・ファキー情報大臣、オマル・スレイマーン大臣、ザカリヤ・アズミー官房長官、大統領府公式報道官であるスレイマーン・アウワード大使を含む使節団を同行させている。

 ムバーラク大統領はレバノン、パレスチナにおける現状の危険について警告を発し、危機からの出口を模索する協議の必要性を訴えて、あらためて即時停戦の必要を呼びかけた。

 大統領は、サウジアラビアへの出発を控えた会見の席で、「この地域で起こっている事は破壊のカオスであり、創造のカオスではない。代償を支払っているのはレバノン国民だ」と述べ、イスラエルとヒズブッラーの両者に出口を模索する協議の必要性を呼びかけた。

また大統領は、「ローマ会議の出席者たちは状況の重大さを認識すべきだ。実に凄惨な戦いだ」と語り、イスラエル兵士2名の拉致という(ヒズブッラーがとった)作戦については「こうした行動をとるには計算や見込みが必要であったはずなのに、この作戦には真っ当な見通しがなかった。代償を支払っているのは女性や子どもだ」と述べた。レバノン国土の破壊については、「レバノンは将来が約束されている国家だ」と語った。

サウジ訪問とアブドゥルアジーズ国王との会談の目的、また他の枢軸に対抗するエジプト―サウジアラビア―ヨルダン軸があると取りざたされている点の信憑性をウサーマ・アブドゥルアジーズ本紙記者が質問したのに答えて大統領は、「枢軸について話をするつもりはない。サウジにはシリアやヨルダンに対するのと同様、協議のために訪問するのであって、枢軸などという発想を持つべきではない」として、自身は枢軸や同盟といった考えの支持者ではないと明言した。

 ムバーラク大統領は、ローマ会議で決議に到達し、それを安保理に提出してこの事態に関する出来る限り早急な国連決議の採択を可能にするのでなければ、被害は極めて甚大なものとなり、当事者が出口を見つけることが困難になる、と警告した。



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( 翻訳者:平寛多朗 )
( 記事ID:3145 )