イスラエル、南レバノンから撤退開始(アル・アハラーム紙)
2006年08月16日付 Al-Ahram 紙
■ イスラエル軍、南レバノンからの撤退を始める
■ 国際部隊は10日以内に到着
■ レバノン国防相:「南レバノンにはレバノン国軍以外の武装勢力は存在しなくなるだろう」
■ アナン事務総長付報道官:「国際部隊は武力によるヒズブッラーの武装解除は行わない」
【ベイルート:ファトヒー・マハムード、アラブおよび世界各国の首都:諸通信社】
国連決議1701号の施行によって南レバノンに比較的平穏な状況が広がった頃、国連はUNIFILに増派される国際部隊の第一陣は10日以内にレバノン南部に到着するであろうと発表した。
一方、イスラエル放送は、イスラエル占領軍が昨日、レバノン南部からの撤退を始め、およそ千人に達する大隊が昨日朝、イスラエル北部に帰還したことを確認した。
同放送は「兵士たちは地雷とヒズブッラー分子による夜間の攻撃を避けるため、山岳ルートを一列になって行進することを余儀なくさせられた」と報じた。
イスラエル軍参謀長のダン・ハルツ中将は昨日の軍ラジオに向けた声明において、イスラエル軍はレバノン南部からの撤退を一週間、もしくは10日以内に終えるであろうと語った。
レバノンのエリアス・ムッル国防大臣は、レバノン南部にレバノン国軍が展開した暁には、同地域には国軍の兵力以外のいかなる兵力も存在しないであろうと明言しつつ、レバノン国軍はヒズブッラーの武装解除は行わないと公表した。
ムッル国防相はベイルートでの会見の席で、レバノン国軍はイスラエルにも出来なかったレジスタンスの無力化は行わないし、そのような考えもないとして、「レバノン国軍は国民保護のためにレバノン南部へ赴くのであって、その範囲において最大限レジスタンスと協調関係にある。国軍が展開するやいなや、その武器こそが唯一の武器となり、そこではレバノン国軍と国連レバノン暫定軍(UNIFIL)以外にはどんな武装勢力も存在しなくなるだろう」と語った。
村々に戻らないよう警告したビラを艦船の砲弾を使ってイスラエルが撒いたにもかかわらず、ベイルートからレバノン南部へ続く道路では、何千という避難民の帰還に伴う息の詰まるような混雑が起きている。ベイルートから沿岸部の都市スールまでの通行は、平常時の一時間に代わりおよそ六時間もかかっている。レバノン東部では、車の列がシリア国境のマスナウ通行所からベカー高原のシュトゥーラまで延びている。
レバノン治安筋によれば、一昨晩のうちにイスラエル軍はレバノン南部のマルジャアユーンを出発し、近くのクライアからも撤退したという。同筋の見込みでは、水曜日にはレバノンからイスラエル全軍が撤退し、明日木曜からと見られるレバノン国軍展開への地ならしとして、退去する複数の拠点を国連部隊に引き渡すと見られる。
アナン国連事務総長の報道官であるステファン・ドジャレク氏は、レバノン南部で現在展開している国連部隊への増派に参加可能な国々からの確約はまだ受けていないと語り、国連部隊はレバノン軍の援護が任務となり、当然武力行使は可能であるものの、その武力を用いてヒズブッラーの武装解除を行うことはないと明言した。
ベルリンでは、ドイツのデア・タープシュピーゲル紙が昨日、ドイツ海軍がレバノンとイスラエル沿岸の海路の監視に参加するとの予測を報じ、「先週、ドイツの連立与党の党首らがこの任務へのドイツ軍参加の可能性について同意した」と述べた。
またイスラエルの新聞は「ヒズブッラーとの来る対決は時間の問題だ」とのアモス・ヤドリン情報部長の言を引用し、シリアとイランはその対決に備え、ヒズブッラーの再武装を急ぐであろうとつけ加えた。
イスラエル軍の報道官は、一昨日の朝からヒズブッラーに対する軍事作戦を停止したにもかかわらず、一昨日晩に10発のミサイルがレバノン南部でイスラエル軍が占領した複数の拠点近くに打ち込まれたと述べた。
同報道官は「そのミサイルは被害や損害を出さなかった。イスラエル軍は停戦決議違反とみなされるそのミサイル攻撃に報復しなかった」と語った。
BBC放送は、そのミサイルは単なる迫撃砲であることがすでに確認済みであり、いかなる負傷者も出なかったと報じた。
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( 翻訳者:平寛多朗 )
( 記事ID:3289 )