イラン、西側の包括提案に回答 ハムシャフリー紙
2006年08月23日付 Hamshahri 紙

2006年8月23日付ハムシャフリー紙

【政治部】安保理常任理事国5カ国+ドイツによる包括提案に対する回答期限としてイラン側が設定していた昨日、同提案に対する包括的回答がイラン側よりこれらの国々の代表らに示された。昨日の午後4時、ドイツ、フランス、イギリス、中国、ロシア、そしてアメリカの利益代表としてスイスの各国大使は、国家安全保障最高評議会事務局に出向き、イランの回答を受領した。

 アリー・ラーリージャーニー博士は、包括提案に対するイラン側の回答を受領するために国家安全保障最高評議会事務局を訪れていた5+1カ国の代表らと会談し、「交渉の相手側が国連安保理でとった行為は不法なものであり、正当性を欠くものであったが、それにもかかわらずイランはシャフリーヴァル月1日、すなわち8月23日より真剣に交渉を開始する用意がある」と表明した。

 この会談でラーリージャーニー書記は、すでにイラン・イスラーム共和国大統領より表明があった通り、モルダード月の最終日〔8月22日〕にイラン側は自らの約束を果たし、回答を提出したことを指摘した上で、5+1カ国の大使らに向けて次のように述べた。「交渉の相手側が国連安保理でとった行為は不法なものであり、正当性を欠くものであったが、しかしわれわれはコフィー・アナン国連事務総長の勧めに従い、前向きな視点から、包括提案に対する回答を提出した。多くの点で曖昧さが存在したにも関わらず、合理的かつ前向きな解釈をすることによって、公正な話し合いを行うための道を開くべく努力した」。

 国家安全保障最高評議会書記はさらに、「交渉の相手側が6月6日以降、誠実さを欠く行為を行ったにも関わらず、イスラーム共和国は5+1グループに対して建設的な方向を示した。イランはシャフリーヴァル月1日、すなわち8月23日より真剣に交渉を開始する用意がある」と強調した。

 他方、イラン原子力庁国際問題担当次官はファールス通信及びメフル通信に対し、イラン側の回答は包括的なものであり、交渉の開始の土台となるものだとの見解を詳細に示した。

 モハンマド・サイーディー次官は、「われわれが回答の中で努力したのは、交渉の相手側の懸念に考慮し、イスラーム共和国と交渉相手諸国の関係において重要であるとされる問題が、すべての交渉関係者らの利益となるような形で解決されるようにすることであった」と述べた。

 サイーディー次官はさらに、ウラン濃縮の停止を前提条件とする西側の見方を「適当ではない」とし、次のように語った。「われわれは、ウラン濃縮の停止を前提条件とすることは、まったく不当であると考えている。過去においては、濃縮停止の議論は意味をもっていたかもしれないが、しかし現在イスラーム共和国は核技術をすでに保有しており、もはや停止の必要はない」。

 核交渉チームの一員である同次官はまた、包括提案に含まれている曖昧さに触れて、「この包括提案には、基本的かつ重要な曖昧点がある。残念ながらブリュッセルでの交渉では、この曖昧さは排除されなかった。イラン側の回答では、これらすべての曖昧点が言及されている」と述べた。

 サイーディー次官はまた、「イラン側の回答がメディアに公表される予定はない」とした上で、「この提案では、幾度かNPTへの言及がなされているが、しかし保留事項である第一条、及び第二条に対してだけであり、発展途上国の技術開発に関わる第四条は触れられていない」と述べた。

 イラン側の回答がなされる前に、イラン核開発計画に関して3つの立場が表明された。ジョージ・ブッシュ米大統領は談話の中で、イラン核活動の危険性を主張し、国連安保理はイスラーム共和国に対して毅然と対処すべきであると警告した。その後、中国、及び日本から見解が表明された。中国はイランに対するいかなる制裁にも反対すると表明する一方、日本の外務省は声明を発表し、石油を含むエネルギー分野での制裁には反対する意向を示した。

 他方、イランを訪問し、包括提案に対して前向きな回答を寄せるようイラン政府関係者に求める予定であったコフィー・アナン国連事務総長は、ロシアのウラディーミル・プーティン大統領と電話で会談し、イラン側にメッセージを発出し、対話の機会を利用するよう呼びかけるにとどまった。

 ロシアはいまだ立場を選択していないが、その一方でブルームバーグ・ニュース・ネットワークが伝えるところによると、ブーシェフル原子力発電所建設の最終段階が始まっており、ロシアより近日中にイランに専門家チームが派遣される予定であるとのことである。他方、昨日イランの専門家チームがブーシェフル原子力発電所の稼働に関して話し合うため、モスクワを訪れた。

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:3325 )