スカーフ問題、当事者の教師が語る~行政裁判所襲撃事件後、初のインタビュー(Hurriyet紙)
2006年08月24日付 Hurriyet 紙
行政裁判所が自身のイスラーム風スカーフの問題に関して下した判決が、アルパッサン・アスラン被告による行政裁判所襲撃を引き起こしたとされた。トルコでは(裁判の当事者の)アイタッチ・クルンチさんが学校の外でイスラーム風スカーフをかぶってもよいのか否かが何カ月にもわたって議論された。政治家、法学者、メディアはみなこの件について書き、議論した。今度はアイタッチ・クルンチさんが自分の意見を明らかにした。
行政裁判所第2局が自身について下した、学校の外でイスラーム風スカーフを身に着けることは法律違反であるという判決が、アルパッサン・アスラン被告による行政裁判所襲撃を引き起こす原因となった。アイタッチ・クルンチさんは、「スカーフについて私自身のはっきりとした決まりはない」と話した。
小学校教諭のアイタッチ・クルンチさんは、週刊テンポ誌に対しこの件について初めて語った。イスラーム風スカーフ問題、行政裁判所襲撃事件と自身が経験した事柄を書き記した本について説明したクルンチさんは、「必要があればスカーフを取り、必要があればスカーフをかぶります」と話した。テンポ誌の記者の問いに初めて答えたクルンチさんは、要約すると次のように答えた。
■あなたがスカーフをかぶるかかぶらないかの基準は何ですか?いつ、どんな場所でかぶりますか?
私の中ではスカーフをかぶるかかぶらないかについてはっきりとした基準がある訳ではないんです。例えば一度なんか、家のまえまでやってきた新聞記者たちの前にスカーフをかぶらずに出たことすらあります。私がスカーフをかぶるかかぶらないかを決められるのは私だけです。バッカル(※)に行く時はスカーフをかぶらないときがあります。私はいかなる狂信的な行為にも反対です。人が互いに似通っていることも大嫌いです。だから他人が私を1つの型にはめ込むことも嫌なのです。スカーフをかぶるかぶらないは個人の選択です。認めようといまいと、私たちの国のシステムには服装規定というものがあります。つまり、公務員になりたい人はこの規定も守らなければならないことを知っています。後になってこれについて大騒ぎしたって仕方ありません。
■あなたは「ヘッドスカーフ(basortusu)」と「イスラーム風スカーフ(turban)」のどちらの言葉を使いたいですか?
ヘッドスカーフですね。私が頭を覆うのに使っているスカーフとその結び方は、イスラーム風スカーフとは関係がありません。
■大学で起こっているスカーフ問題についてどう思いますか?
国家公務員には服装規定があります。これについて議論の余地はありません。しかし私が知る限り、学生にはこのような規定はありません。大学当局がこの基準を定めています。でもイスラーム風スカーフを身に着けて校内に入ることはできないという決まりがあれば、それに従わなければなりません。
■どこかの教団や宗派に属していますか?
そのようなものとの関わりは一切ありません。あれば警察やメディアが明らかにしたでしょう。
■あなたが影響を受けたのは宗教的な思想ですか、宗教指導者ですか?
私はアッラーと奴隷(自分自身)の間に他者が入り込んではならないと信じています。私の(宗教上の)罪も善行も自分自身に属するもので、他の人には関係ありません。コーランのトルコ語版を最初から最後まで通して4回読みました。そこに書かれたメッセージは明らかです。仲介者の必要なしにイスラームを理解し解釈できると分かりました。
■1日5回お祈りをしているのですか?
していると言ったら嘘になります。義務とみなされている宗教の戒律すべてを完璧に実行していると言っても嘘になります。仕事の忙しさがこうした義務を果たすことの妨げになっています。私の考えでは、イスラームにとって重要なことは、いい人間になることであり、万物の価値を敬うことです。
■行政裁判所襲撃事件を知って、どう思いましたか?
もちろん他の方同様残念なことだと思いました。でももっと残念に思ったことは、この襲撃事件が、私が起こした訴訟と関係づけられたことです。まるで私が殺人犯であるかのように扱われました。私の訴訟は法的な訴訟です。政治的な側面はありませんでした。私は訴訟を起こす時、スカーフ問題に直面している人たちの旗振り役を引き受けたくはなかったのです。
参考記事:
・2006-02-09 行政裁判所:通勤中の教師にイスラーム風スカーフは不適切(Milliyet紙)
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/newsdata/News200629_1870.html
・2006-05-18 行政裁判所、銃撃で5人が死傷-スカーフ問題が引き金か?(Milliyet紙)
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/newsdata/News2006518_2459.html
※バッカル トルコにあるコンビニのような店。食料品や日用品が揃う。
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( 翻訳者:住永 千裕 )
( 記事ID:3339 )