ナギーブ・マフフーズが死去、エジプト文学界・芸能界から哀惜の声(アル・アハラーム紙)
2006年08月31日付 Al-Ahram 紙

■ エジプトを愛したマフフーズは心の中に生き続ける

2006年08月31日付アル・アハラーム紙(エジプト)HP文化・芸術面

 エジプト芸術の歴史において稀有な存在であったナギーブ・マフフーズ。彼の作品は一世紀近くにも及んで、エジプトにおける生を活き活きと描き出してきた。その文学の登場人物たちは映画や演劇、テレビやラジオのドラマの中で生きた人物に姿を変え、様々な世代にわたるエジプトの著名なスターたちによって演じられてきた。

 マハフーズはエジプトを愛し、広い心と人間味と友情によって、多くの芸術家や文化人、文学者との交流を得てきた。彼の逝去が報じられるやいなや、強い哀しみが文学界や芸能界、特に彼と親交の深かった文化人や、アラブ世界中の何百万ものファンの間に広がった。

 昨日、作家連盟長としてムハンマド・サラマーウィーは、「マフフーズの死去はエジプト、アラブのみならず世界中の文学者にとって大きな悲しみだ」とその死を悼んだ。
 マフフーズの友人だった大詩人、アブドゥッラフマーン・アブヌーディーはベイルートからの電話で、「ナギーブ・マフフーズのいないエジプトなんて想像もつかない。彼は文学にとって大きな存在だっただけでなく、人間としても、また執筆を続け、生き続ける力という面でもすばらしい人だった。彼は誰に対しても悪意を持たず、最初から最後まで、われわれ文学者や普通の市民に飲み水を恵んでくれる河のような存在だった。われわれはただ哀しみ、沈黙するだけだ」と語った。

 また小説家のガマール・ギーターニーは、「父として、友として、兄として、人として、大切な人間を私は失ってしまった。これらのすべての面を一人の人間が備えていることはめったに無い。ナギーブ・マフフーズを間近で知る人は、作家であると同じくらい人間としても大きな人だったことを知っている。彼は生涯、誰とも争いを起こさなかった。私はタウフィーク・サーレフ監督の次に古い彼の友人だが、1959年に知り合って以来、人間性における賢者の一人と思ってきた」と語った。
 作家のユースフ・カイードも、「彼を1964年から知っている。亡くなる数時間前に会ったが、彼の居ない世界なんて考えられない。おととい彼は私の手を握り、互いが近くに居ることを確かめるかのようにその手を離さなかった」と話した。

  アラブ出版連盟長のイブラヒーム・ムアッリムも昨日大作家を哀悼し、彼の全作品を再版し、再び愛読者たちの手に戻す、と発表した。

 一方、彼の作品を映画やドラマで演じたカマール・シェンナーウィー、ヌール・シェリーフ、イッザトゥ・アラーイリーといったスター俳優たちからも、彼の死を惜しむ声が上がった。(後略)



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( 翻訳者:山本薫 )
( 記事ID:3381 )